外部空間

コラム

コラム050|車と玄関の関係

車の置き場所 北陸などの地方においては自家用車は必需品です。出勤や買い物など日常的に車を利用します。以前も、車の乗り降りにガレージや庇の必要性について書きましたが新しい事例を交えて紹介します。 以前の記事は、こちら。 南砺市の家は、散居村といわれる、一軒毎の農村住宅を中心に周辺に田圃が広がる地域に建っています。日常の主な交通機関は自家用車になるため、玄関は主に来客用のものとなり、家族はガレージに入った車から直接住宅内へ入ります。全体は黒いガルバリウム鋼板の外壁ですが、人が近づく玄関廻りのみジョリパットの左官仕上げとしています。 内玄関は玄関と仕切って隠す 玄関アプローチは4帖分の広さで、大きな屋根で雨や日差しを遮り来客を迎え入れる設えになっています。ガレージ内から連続する内玄関は、住宅内で玄関と引戸を介して連続し行き来することができます。家族の下足入も内玄関内に設置して、来客の目に触れず、内玄関まではスロープでつなぎ、荷物の運搬や車いすも使いやすいようにしています。 右側の3枚引きの木製引戸がガレージの出入口です。外観にシャッターが並ぶ住宅は景観上も好ま...
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外構工事は時間との勝負 円光寺の家

外部の足場が解体されてから外廻りの工事がスタートです。竣工予定日までわずか数日です。若い大工さんも応援に入り、中庭の隣地境界側に板塀の下地を組み上げていきます。住宅の基礎と同じように、塀の基礎も外観に見えてくるため型枠のパネル割付とセパの割付を図面で指示しています。 外部に使用するため木材はヒノキを使っていますが、仕口の金物が見えてこないように柱は長ほぞ差し込栓留めとしています。塀が風であおられてふらつかないように控え壁を設けたいところですが設置スペースの問題もあり、両端の柱と土台をL型のスチールプレートに亜鉛塗装をしてコンクリート基礎からステンレスのアンカーボルトで固定しています。 リビングから中庭を見たところです。塀が高すぎると圧迫感があるため、隣地を通る人と目線が合わない高さとしています。 次は中庭のウッドデッキの設置です。ウッドデッキと言っても、最近は樹脂と木で作られた再生木材のデッキ材を使うことが多くなっています。リサイクル素材を主原料としてエコなことと、腐らないメリットがありますが、直日光が当たると素足では歩けないほど熱くなるので注...
業務日誌

小丸山城址公園の照明計画

七尾市の小丸山城址公園の照明計画です。 公園の統括設計は計画情報研究所、ランドスケープデザインは橋本建築造園設計、やぐら(展望デッキ)は能登デザイン室の設計です。照明計画は家山真建築研究室の家山英子が担当。 公園内の整備計画に合わせて既存の照明を見直し、安心して夜間の散策も楽しめるように計画しました。 既存の園内の照明は、光を拡散させる白色のグローブ型水銀灯で、光源がまぶしく(グレア)、樹木や人の影が大きくあらわれるため心地よいものではありませんでした。[下の写真は改修前] 園路に沿って低い傘型の庭園灯を配置し、柔らかい電球色の明かりのたまりがリズミカルに連続し、光のグラデーションをつくり出しています。 正面の突きあたりの明るい場所は、駐車場からのアプローチと、隣接する天性丸公園につながるブリッジからの動線が交差する場所のため、背の高いポール灯で明るさを確保しています。 春の花見シーズンは仮設の行灯照明を用いますが、普段は夜空に無用な光が漏れないように配慮しています。 七尾湾を望むように新設され...
コラム

コラム047|勝手口は家庭の表玄関

プランニングのよっては設けられないこともありますが、住宅のキッチンやユーティリティーに勝手口を設けることが多いと思います。勝手口の機能的な役割はどのようなことがあるのでしょうか。 玄関が来客を迎え入れる表舞台だとすると、勝手口はゴミ出しなどの家庭の裏動線としての役割があります。来客の目に触れたくない、洗濯やゴミ出しなどの家庭内のプライベートな機能を持った出入口です。来客を迎え入れる玄関が、アプローチ空間や庇のある半屋外的な空間が必要なように、プライベートな勝手口にも半屋外的な空間が必要です。家事動線の一部として勝手口を設けることが多いと思いますが、内部空間と外部空間の接点となるためドアを開けると風雨が吹き込むことは避けたいところです。 勝手口の事例 キッチン背面の引戸を開けると廊下を経由してサービスヤードに出ることができます。サービスヤードは3帖の広さを持つ、屋根のある半屋外空間です。ゴミ置き場や野菜の屋外保存スペースとして利用されています。 建物の一部がくびれて屋根に守られた半屋外空間を確保しています。勝手口のドアも外壁に向かっ...
掲載

オンラインマガジンhomifyに掲載 久安の家

ドイツを拠点に、各国に建築・インテリアのオンラインマガジンを発信するhomifyに「久安の家」が掲載されました。 クールな佇まいがお洒落!シンプルモダンな家族の住まい  ご質問・お問い合わせは、こちらからどうぞ 関連記事 こちらもご覧ください 掲載一覧
コラム

コラム043|住宅の門扉は、開・閉どちらでも格好良く

緩やかに仕切る境界ライン 住宅の玄関ドアは、外部と内部の接点でセキュリティの境界となります。古くからのコミュニティが形成されている地方などでは、公共の道路から玄関に至るまでに門扉を設けないことも多くあります。久安の家では、比較的新しく住宅が建ち並び始めた地域で、周辺は、空き地が点在する中に様々な形態の住宅が建ち並んでおり、街並みの手がかりを見つけだすことは難しかったため、この住宅が街並みに対して影響を与えていくものと考えて計画しました。道路に対しては来客用の駐車スペースが空間的な広がりと、植栽による緑を街並みに提供し、幾層にも重なるコンクリートの塀で建築の奥行き感を出しながらも住まいとしての領域を分け、建物の形をまとめました。玄関ドアまでの間に門扉を設けて物理的な境界ラインを設定しています。 コンクリート打放のゲートでプライベートとパブリックの境界を暗示させ、その奥のコンクリート打放の塀とスチールの門扉が物理的な境界ラインとしています。塀の奥は和室の坪庭で、そこに植えられた黒竹が道路からも見ることができます。門扉はアルミの既製品ではなく、スチールのフラットバーを組み合わ...
コラム

コラム036|塀のデザインは、建物と一体的に計画を

何のために塀を付ける? 住宅を建てたときに、敷地境界に沿って塀を建てることがあると思います。隣地との境界を明確にして、誰でも勝手に入ってこないためにも必要となります。近隣のコミュニティが緩やかに繋がっている地域の場合は、物理的な境界線と言うよりも、プライバシーを守るための緩衝体としての役割があります。 郊外の事例 田園の二世帯住宅では、道路拡幅による建て替えで、交通量が増加することが予想できるため、子供たちが安心して遊べる庭を道路から遠ざける必要がありました。塀が取って付けたデザインとならないように、塀を建物の壁面ラインの延長線上に設けたり、住宅の外壁杉板張りと同じ素材で作っています。 また、塀をずらしたり、角度を振って塀同士に隙間を作り、田園地帯の地域住民の緩やかなつながりが途切れないように、そこから人が自由に出入りできるようにしています。 板塀の途中にある縦格子は、住宅のガラス張りの階段室(上の写真の建物のくびれた部分)の延長線上にあります。階段を上下するときに、縦格子の隙間から敷地の外が見えることを意識しています。 まちなかの事例 石...
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コラム034|玄関・アプローチの照明

玄関やアプローチを照らすための、外部空間に配置する照明器具はどのようなものが良いのでしょうか。 木造の軒裏を美しく見せる 木造住宅の大きく跳ね出した軒下空間は、内部空間と外部空間を繋ぐ中間領域として、日差しを遮ったり、雨宿りをする機能的な役目を持っています。この空間を夜も魅力的に見せるために、外壁に全方向に光が広がるブラケット照明をつけることによって、軒裏に光が広がり規則正しく並ぶ垂木の陰影がきれいに浮かび上がります。 桂町会館では、奥行1.2mの軒下空間を幅23mにわたって照らすことによって、対面する公園に灯りを提供しています。 南砺市の家では、玄関までのアプローチ空間の軒裏を照らし、奥まで誘導します。 八幡の土蔵では、蔵を覆う屋根が浮かんで見えるように、軒裏全体をライトアップしています。 囲まれた空間には光を溜め込む 囲まれたフラットな天井の玄関ポーチでは、ダウンライトを天井に埋込み、囲まれた空間全体に光を溜め込むように配置します。 アートギャラリーの尾張町計画では、伝統環境保存区域の街並みに無用な光が...
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コラム033|玄関の庇もデザインの一部

玄関の庇の必要性は シンプルな箱形の建築に、申し訳程度の薄い庇が付いただけの玄関はスッキリとした建物のデザインになりますが、毎日の生活で不自由はないでしょうか。玄関は、人や物の出入口なので、内部空間と外部空間の接点となり、玄関ポーチはその接点で緩衝地帯となる部分です。北陸地方では雪や雨の天候が多いため、庇のある玄関ポーチは大切な空間です。 庇や玄関ポーチの出っ張りが、取って付けたようにならないように、ポーチの庇を屋根と一体化して、建物ボリュームを削った屋根の下を玄関ポーチとすれば全体の形態を崩さずに計画することができます。ゆったりとした大屋根の下から玄関に入るのは安心感があります。 東山の家2では、ポーチの庇と隣地側の防火袖壁を一体させて、L型に連続した先端を亜鉛メッキの細い鉄骨で縁取りして、シャープな見掛りとしています。薄く見える先端から建物ボリュームに食い込み、より深い庇の空間をつくっています。 郊外に建つ住宅の場合、周りに風を遮るものが少ないため、田園の二世帯住宅では玄関ポーチを壁で囲い、開口部の隙間から入るようにしています。囲...
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コラム011|浴室は特等席

庭と連続させて露天風呂の気分 住宅の中で特等席はどこでしょうか。景色の良いところや、日当たりの良いところに特等席をつくりたいですね。この住宅は東西に細長いので、ほとんどの部屋が日当たりの良い南に向いています。浴室も南に面していますので、青空を見ながら休日の昼間に入るお風呂も気持ちよさそうです。 [写真上/田園の二世帯住宅]浴槽に入ると天井いっぱいまでガラスになっていて坪庭が見えます。坪庭の材質感のあるマヂックコートの塗壁がそのまま浴室の壁に連続してつながっているので、浴室と坪庭が一体的になり、より開放的に感じられます。浴室の壁と天井はヒノキ張りです。メンテナンスをきちんとしないと、すぐに痛んできますが、日当たりが良いので浴室はいつも乾燥しています。 坪庭から見ると浴室がまるみえです。もちろん、坪庭には板塀の目隠しと、ガラス面にはロールスクリーンがついていて外から見られることはありません。板塀は風通しを確保しながら、隙間からのぞかれないように、設計図で検討してあります。  ご質問・お問い合わせは、こちらからどうぞ 関連記事 こちらもご...
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コラム010|雨に濡れずに車に乗りたい

庇が回廊になってガレージと住宅を行き来する あさ出かけるときや荷物の出し入れをするときに、雨が降っていると車に乗り込むのが億劫ですね。この住宅は敷地にゆとりがあるためガレージは別棟にして兼業農家を営む母親の作業場を兼ねています。 [写真上/田園の二世帯住宅]十分な奥行きをもったガレージの庇が悪天候時の出入りを容易にし、そのまま一直線に伸びて母屋の住宅玄関部分につながる長さ20mの回廊になっています。 幅1.8mの回廊は、ゆとりがあるため屋根のある屋外スペースとして利用したり、両脇に花を飾って来客を迎え入れるゲートとしても機能しています。 敷地のまわりに設けた板塀や建物の板壁と合わせて、広い敷地に適度に囲まれた落ち着いた場所をつくっています。  ご質問・お問い合わせは、こちらからどうぞ 関連記事 こちらもご覧ください コラム目次
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コラム009|アプローチ空間で期待感を高める

奥行きを創り出す 建築のアプローチは、内部空間へ至る印象を決める重要な場所です。建物が道路に面していたり、奥行きが充分とれない場合であっても、道路と平行にアプローチ空間を長く取って建物の中に入る期待感を高めることができます。 [写真上/直源醤油ショールーム]道路に面した土蔵の小さな入口から内部を見るとフロストガラスのスクリーンで仕切られて内部を見通すことができません。下見板張りの蔵の外壁に開けられた開口部の奥に、明るいガラス面が人を中へと誘い込みます。 スクリーン越しに内部のあかりと雰囲気を感じながら狭い土間のアプローチ空間を通って、突きあたりで視線の向きを変えると広い蔵空間が広がります。 [写真上/葬送空間えにし]セレモニーホールの正面玄関はフロストガラスのスクリーンで仕切られています。 ファサード面のフロストガラスのスクリーンは入口までの距離をとることによって風除室としての機能的な役割を果たすと共に、参列者が告別の場であるホールへと至るまでの厳かな精神に切り替え、故人を偲ぶ回廊としての役割をもっています。  ご質問...
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コラム003|ずれているダウンライト

部屋全体を均一に照らす必要はありません 住宅や店舗の設計において、照明のデザインは重要なポイントです。照明器具のデザインも大切ですが、あかりのデザインがより大切です。しかし何でもダウンライトにして天井に埋め込んだり、間接照明にして器具を隠すことが良いわけではありません。空間の中に明暗を設けて、あかりの重心を偏らせることによって少ない照度で豊かな空間が生まれます。 [写真上左/東山の家]玄関の照明は、天井の中央ではなく下駄箱の上を照らしています。飾棚としてのしつらえをライトアップすることと、照明の真下に人が立ったときに強烈な影ができないようにしています。 [写真右上右/田園の二世帯住宅]廊下の照明は片側に寄せて奥の階段室のダウンライト、更にガラス戸を開けたリビングの照明器具と一直線上に並んで奥行きのある空間を演出しています。 [写真上/葬送空間えにし]建物正面のアプローチの照明も奥側に寄せて、明るい壁面を浮かび上がらせています。 全体が均質だった空間が、照明の位置を少しずらすだけで明暗の対比が強くなり空間の深みがでてきました。  ご質問...