コラム036|塀のデザインは、建物と一体的に計画を

石引の家 格子塀コラム
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何のために塀を付ける?

住宅を建てたときに、敷地境界に沿って塀を建てることがあると思います。隣地との境界を明確にして、誰でも勝手に入ってこないためにも必要となります。近隣のコミュニティが緩やかに繋がっている地域の場合は、物理的な境界線と言うよりも、プライバシーを守るための緩衝体としての役割があります。

郊外の事例

田園の二世帯住宅では、道路拡幅による建て替えで、交通量が増加することが予想できるため、子供たちが安心して遊べる庭を道路から遠ざける必要がありました。塀が取って付けたデザインとならないように、塀を建物の壁面ラインの延長線上に設けたり、住宅の外壁杉板張りと同じ素材で作っています。

田園の二世帯住宅 板塀

また、塀をずらしたり、角度を振って塀同士に隙間を作り、田園地帯の地域住民の緩やかなつながりが途切れないように、そこから人が自由に出入りできるようにしています。

田園の二世帯住宅 板塀

板塀の途中にある縦格子は、住宅のガラス張りの階段室(上の写真の建物のくびれた部分)の延長線上にあります。階段を上下するときに、縦格子の隙間から敷地の外が見えることを意識しています。

 

まちなかの事例

石引の家は、T字路の突き当たりに位置する住宅のリノベーションです。もともと、T字路の突き当たりの真っ正面に玄関があり、玄関の部分以外はブロック塀で囲まれていました。

石引の家 格子塀

不定型な形の道路境界に沿って塀を建てると、狭い道路に対して圧迫感を与え、敷地内にも不定型な活用されない空間が残ります。ここでは、建物に平行に格子塀を2列に設け、玄関の正面は格子塀で道路から目隠しをしながらも通風を確保しています。

石引の家 格子塀

敷地横の駐車スペースから建物と格子塀の隙間に沿って、建物から張り出した庇の下を通って玄関へアプローチします。

石引の家 格子塀

電気やガスのメーターは格子塀の後ろに設置して目立たないようにしています。また、ずらして配置した格子塀の隙間から視線が抜け、狭い道に対して僅かな植栽空間を提供して街並みにも貢献しています。