浴室の種類
住宅の浴室をどのようにするか、大きく分けて二種類の選択肢があります。「ユニットバス」か「在来工法浴室」です。
現在では、ユニットバスの方が一般的だと思いますが、床・壁・天井などのパネルや浴槽のパーツを現場で組み立てて浴室を作る工法がユニットバスです。主に樹脂パネルでできたパネルのため、掃除のしやすさや水漏れの心配も少なく、断熱仕様のパネルや浴槽を使えば短期間で性能に優れた浴室ができあがります。しかし規格の数種類の寸法から選ぶ必要があり、パネルの質感なども本物のタイルなどに比べると劣る場合があります。
在来工法浴室とは、コンクリートやモルタルの下地に防水を施し、床や壁にタイルや石を張って仕上げる工法のことです。浴室の寸法や仕上材料も自由に設計することができます。自由度がある反面、施工の不具合などにより、水漏れやタイルのクラック(ひび割れ)などの心配があります。
在来工法浴室の例
在来工法の浴室の場合、浴室と洗面所を透明な強化ガラスで仕切り、開放感のある空間にすることによって浴室の狭苦しい感じを緩和することが比較的容易にできます。床は白い大理石を洗面所から連続させて、壁には白いモザイクタイルを張っています。鉄骨造の2階にある浴室の窓からは格子で囲まれたプライベートな小さな坪庭を設けています。[神田の家]
鉄筋コンクリートと木造の混構造のコンクリート部分の2階に設けた浴室です。洗面所とは、フレームのない強化ガラスのドアで仕切っています。[久安の家]
木造のリフォームでも在来工法の浴室は可能です。もともと浴室のあった場所を解体し、土台や柱の根元が傷んでいる箇所を補修し、防水処理を施してモザイクタイル張りの白い浴室にしました。浴槽の正面にはちょうど目線の高さに小さな窓を設けて、板塀で囲まれた小さな庭を見ることができます。この建物は、敷地形状に合わせて角が斜めにカットされていたため(シャワーの付いている場所)そもそもユニットバスの設置は無理でした。[石引の家]
こちらもフレームのない強化ガラスのみで仕切られた浴室です。ゲストハウスという用途から、非日常的な雰囲気を出すために白いシンプルな置き型の浴槽を置いています。[大桑のゲストハウス]
在来工法の浴室では、タイルの下地に防水処理をすることが必要です。木造の場合でも、腰壁まで防水(写真の例ではアスファルト防水)をし、浴室外に水が染み出さないように出入口のドアの取付部分も入念に防水処理をしておきます。腰壁より上と天井には、アスファルト系の粘着防水シートを貼って湿気を防ぎます。
ユニットバス浴室の例
ユニットバスを使えば、敷居に段差のない引戸のバリアフリー仕様も簡単に設置できます。浴室内の仕様は限定されますが、洗面所のデザインや設備の選択の工夫によって補っています。[南砺市の家]
ユニットバスであっても、メーカー、グレード、オプションの選択によって、このような開放的な浴室も可能です。[西都共同住宅]
浴室選びもライフスタイル重視で
浴室は、体を洗うだけではなく、一日の疲れを癒やしたり、または一日の始まりにシャキッと目覚めるためのシャワーなど、それぞれのライフスタイルによって、どのような浴室が求められるかさまざまです。家山真建築研究室では、クライアントの要望や予算に合わせていずれの工法でも対応しています。