柱には全て番号が付いています
「いの一番」とは、「一番最初」の意味で使われる言葉です。
語源には諸説あるようですが、大工さんが一番最初に建てる柱のことを「いの一番」と言ったそうです。建築では、通芯(とおりしん)と言われる基準のラインの中心に構造の柱を設定していきます。
木造では一般的に、3尺(910ミリ)毎に通芯を設定して、そのXーY方向の交点に柱が建ち、設計図ではX方向はX1,X2,X3・・・・、Y方向はY1,Y2,Y3・・・と通芯の番号を付けていきます。(場合によっては1,2,3・・・、A,B,C・・・の場合もあります)
実際に工事をするにあたって、設計図を基に木材を加工するためのプレカット施工図を木材加工業者が作成しますが、この施工図を見ると、設計図とは異なる通芯番号が付いています。X方向は い,ろ,は・・・、Y方向は1,2,3・・・しかも、番号の方向が逆です。プレカット業者によっても、この番号の付け方のルールが異なり、設計図と照合しながらチェックをするのが不便ですが、木材加工が機械化されても、現場で木材を組み立てるのは大工さんなので、今でも昔の慣習に倣った番号を付けているのだと思います。上の図で赤丸で囲んだ柱が「いー1」の柱です。
テンポ良く、次々に柱と梁を組み立てて行きますが、柱の下の部分を見ると全て通芯番号が刻印されています。「たー11」のように、柱を建てる位置がすぐに分かるようになっています。
建て方の順番からすると、通常敷地の一番奥の柱から建てていきますが、この現場では敷地の一番奥の角が「いー1」番の柱となって最初に建てられました。