外壁

業務日誌

足場が解体されました 円光寺の家

足場の解体に先立ち、屋根廻り、外壁廻りのチェックをします。事前にチェックした汚れや、吹付の不備などを再確認します。足場があるうちにできる作業は、全て完了したことを確認して解体作業に入ります。 正面の全貌も見えてきました。全体を黒色でまとめ、正面の延焼ラインを避けた位置に米杉板を張っています。 同時期に着工した隣家とは、色も形も対照的なものになりました。幸いにも、隣接する壁面の窓は互い違いにずれて、開口部が向き合うことはありませんでした。 隣家から覗かれることのない2階のプライベートなバルコニーからは、空を切り取って見ることができます。 内部では、仕上工事の真っ最中です。壁の石膏ボードは、ジョイント部分を少なくしてクラックなどの問題を最小限に抑えるために3×8版(910ミリ×2420ミリ)のボードを使っています。天井高さ2.4メートル以下であれば高さ方向にジョイントのない壁面にすることができます。 外観は閉鎖的に見えますが、各所に光と風の通り道を作っています。階段正面は隣地のため、左側の中庭側に窓を設け、隣家からの視線...
コラム

コラム048|ジョリパット外壁の経年変化の確認

竣工8年経過後の状態 設計中の住宅の、外壁仕上についてクライアントと打ち合わせている中で、ジョリパット塗の外壁の耐久性(クラック、汚れ)について質問をうけました。左官工法でジョリパットを仕上げる場合は、目地無し工法で下地の防火サイディングのジョイント部分はジョイントテープとパテで埋めてしまいます。経年変化によって、ジョイント部分にクラックが入らないかという心配です。 参考のために、以前設計した桂町会館の8年経過後の状態を確認してきました。区画整理地内の公園の調整池の上に建つ町会会館です。大雨が降ったときに、コンクリートの高基礎部分が水没する建築です。写真は建物裏側の様子です。ベージュ色の外壁がジョリパット塗りで、心配したクラックはまったく入っていません。設計事例|桂町会館 サッシ廻りの雨垂れによる汚れが少し気になります。 開口部の無い、側面もクラックは入っていません。 しかし、ベントキャップ(換気扇の排気口)廻りが黒く汚れています。 室内の空気を換気扇で排気するときに、空気中の塵も一緒に排気され、塗壁の凹凸に汚れが蓄積されるようで...
コラム

コラム036|塀のデザインは、建物と一体的に計画を

何のために塀を付ける? 住宅を建てたときに、敷地境界に沿って塀を建てることがあると思います。隣地との境界を明確にして、誰でも勝手に入ってこないためにも必要となります。近隣のコミュニティが緩やかに繋がっている地域の場合は、物理的な境界線と言うよりも、プライバシーを守るための緩衝体としての役割があります。 郊外の事例 田園の二世帯住宅では、道路拡幅による建て替えで、交通量が増加することが予想できるため、子供たちが安心して遊べる庭を道路から遠ざける必要がありました。塀が取って付けたデザインとならないように、塀を建物の壁面ラインの延長線上に設けたり、住宅の外壁杉板張りと同じ素材で作っています。 また、塀をずらしたり、角度を振って塀同士に隙間を作り、田園地帯の地域住民の緩やかなつながりが途切れないように、そこから人が自由に出入りできるようにしています。 板塀の途中にある縦格子は、住宅のガラス張りの階段室(上の写真の建物のくびれた部分)の延長線上にあります。階段を上下するときに、縦格子の隙間から敷地の外が見えることを意識しています。 まちなかの事例 石...
コラム

コラム028|電話・インターネットはどこから

配線はどこから建物内に入るのか 住宅が完成したときに、照明器具やコンセントはすぐに使える状態で引き渡しされているのが普通だと思います。しかし、電話やインターネットは、クライアントが電話会社やプロバイダーなどに申し込んで設置します。電話も、従来からのNTTの他にも新しい電話会社やケーブルテレビを利用した電話、光ケーブルを利用した電話など選択肢がたくさんあります。最近では、光ケーブルを引き込み、インターネットとひかり電話を利用する家庭がほとんどだと思います。石川県や富山県ではテレビアンテナをつけずにケーブルテレビでテレビを視聴する家庭も多くあります。住宅の設計・工事においては、これらの接続のために空配管のみ設置することが一般的です。 各部屋に電話やLANの接続口がありますが、どこから線をつなぐのでしょうか。最寄りの電柱から引き込みできるように、外壁の上部に引込口を設けています。写真の3つ並んだ内の一番奥は電力の引込口。手前2つが弱電用の引込口です。弱電とは電話やインターネット、ケーブルテレビなどの通信用の配線のことです。設計時にはどのような弱電方式にするか決まっていないことも多いの...
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コラム027|ガルバリウム鋼板の外壁

街中を見てみると、外壁の仕上げ材料で一番多く使われているのは「窯業系サイディング」ではないでしょうか。これは、セメントに繊維質原料を混ぜて作られたもので、表面はレンガ積風や石張り風、板張り風の仕上が施されています。設計者としては、本物をまねてつくられた見栄えだけの偽物の材料を使うことに抵抗があります。施工性・メンテナンス・コスト・デザインのバランスから金属の質感をあらわしたガルバリウム鋼板を使用することが多くあります。少し前には、黒色のガルバリウムの角波スパンドレル(3センチ程度の角形の山と谷が連続する波板)が流行った時期もありましたが、すこし無機質すぎると思い最近ではあまり使っていません。 目地無しスパンドレル スッキリとシャープに見せる場合は、目地無しスパンドレルがあっていると思います。フラットな外壁面ですが10センチ毎に突き付けられた僅かな目地が見えるのと、平面部分が多少ゆがんで工業製品の中にも手仕事の痕跡が残る材料だと思います。 角波鋼板 ガルバリウムで一番安い材料は、角波鋼板といわれる山と谷に折られた鋼板を釘留め(またはビス留め)していくものが...
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コラム016|パンチングメタルの外観

商業建築では、正面の外観(ファサード)をアルミサッシとガラスのカーテンウォールとし、デザイン要素を単純化して、スッキリとした外観にすることがあります。物販店舗では、1階は出入口とショーウィンドウのために透明なガラスで店内の見通しをよくする必要がありますが、2階より上は必ずしも外から店内が見えなくても良い場合があります。むしろ、外観を特徴付けるデザインが求められます。 かわさき画材ではガラスの内側にアルミのパンチングメタルを入れています。外部からはガラスとアルミのメタリックな表情、内側からはパンチングの孔を通して外の様子が微かに見えるようにしています。窓の開閉のためにパンチングメタルも開閉する必要があるため、網戸用のアルミ型材を利用して製作しました。 夜間は店内の明かりが、パンチングの孔を通して浮かび上がることも考慮しました。写真は設計時の模型での検討の様子です。 パンチングメタルの開口率(孔の直径とピッチ)は、図面だけでは確認できないので実物サンプルを数種類作成して、比較検討して決定します。 このような現場で判断する事項も監理の重...
コラム

コラム010|雨に濡れずに車に乗りたい

庇が回廊になってガレージと住宅を行き来する 朝、出かけるときや荷物の出し入れをするときに、雨が降っていると車に乗り込むのが億劫ですね。この住宅は敷地にゆとりがあるためガレージは別棟にして兼業農家を営む母親の作業場を兼ねています。 [写真上/田園の二世帯住宅]十分な奥行きをもったガレージの庇が悪天候時の出入りを容易にし、そのまま一直線に伸びて母屋の住宅玄関部分につながる長さ20mの回廊になっています。 幅1.8mの回廊は、ゆとりがあるため屋根のある屋外スペースとして利用したり、両脇に花を飾って来客を迎え入れるゲートとしても機能しています。 敷地のまわりに設けた板塀や建物の板壁と合わせて、広い敷地に適度に囲まれた落ち着いた場所をつくっています。 関連記事 こちらもご覧ください コラム050|車と玄関の関係
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外壁ジョリパット塗 東山の家2

道路側正面の外壁仕上げはジョリパット塗りの目地無し工法です。 前日までに下地パネルのジョイント部分をパテとジョイントテープで処理をして既に下準備ができています。 下塗りの後、パターン仕上げの試し塗りを確認してから、壁全体を仕上げてもらいました。 雨の降る中、足場が解体され建物の全貌が見えてきました。  ご質問・お問い合わせは、こちらからどうぞ
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外壁の水切とベントキャップ 東山の家2

外壁の仕上は、ジョリパット仕上です。正面の道路側は左官屋さんがコテで塗る目地無し工法ですが、側面はあまり見掛りとならないため、コストダウンを兼ねて吹付仕上げとしています。同じ仕上げ材料でも、施工方法によって施工価格が異なるため適材適所で使い分けます。 より安価な仕上に塗装済のサイディングという選択肢もありますが、無機質な素材感に違和感を感じるためジョリパットの仕上を選択しています。 土台水切の納まりも、外壁がシャープに見切られるように返しを付けた納まりとしています。毎度、板金屋さんから単純な箱形の水切にしても良いかと聞かれますが、設計図に明記してある通りに施工してもらいます。基礎のコンクリートとの馴染みもこの方が良いと思っています。 外壁には換気扇の空気の出口を覆うベントキャップも付けられています。これは規格品を使うことになりますが、デザインと性能のバランスのとれた製品を設計図で指示してあります。 外壁の吹付前の現場チェックで、図面と違う製品が付けてあったため取り替えてもらいました。施工者の良かれとの判断で防虫網付のものになっていますが、...
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外壁ジョリパット塗り 尾張町計画

外壁ジョリパット塗の試し塗りです。 コンパネにコテで塗ってもらい、クライアントとともに質感の確認をして建物に施工します。 内部では、左官職人による土壁の作品が完成しました。
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外壁工事 尾張町計画

外壁工事進行中です。アルミサッシが取り付けられました。黒(濃いグレー)の外壁に合わせて、黒のアルミサッシにしています。 外壁は、ジョリパットを目地無しで塗るための「デラクリート工法」で下地の準備をしています。
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手仕事の痕跡が残るガルバリウムの外壁 石引の家

現在改修中の住宅です。外壁はガルバリウム鋼板の一文字葺。角波スパンドレルのような工業製品的なものではなく、職人の手仕事があらわれる葺き方です。工業化、規格化が進む建築の中で、このような部分があるとほっとします。 きれいに納めるために、外壁に出てくる換気扇のフードなどの位置も、一文字葺きの割付に合わせて寸法を指示しておく必要があります。色も指定色で、ガルバリウムと同色で仕上げてもらいます。