プランニングのよっては設けられないこともありますが、住宅のキッチンやユーティリティーに勝手口を設けることが多いと思います。勝手口の機能的な役割はどのようなことがあるのでしょうか。
玄関が来客を迎え入れる表舞台だとすると、勝手口はゴミ出しなどの家庭の裏動線としての役割があります。来客の目に触れたくない、洗濯やゴミ出しなどの家庭内のプライベートな機能を持った出入口です。来客を迎え入れる玄関が、アプローチ空間や庇のある半屋外的な空間が必要なように、プライベートな勝手口にも半屋外的な空間が必要です。家事動線の一部として勝手口を設けることが多いと思いますが、内部空間と外部空間の接点となるためドアを開けると風雨が吹き込むことは避けたいところです。
勝手口の事例
キッチン背面の引戸を開けると廊下を経由してサービスヤードに出ることができます。サービスヤードは3帖の広さを持つ、屋根のある半屋外空間です。ゴミ置き場や野菜の屋外保存スペースとして利用されています。
建物の一部がくびれて屋根に守られた半屋外空間を確保しています。勝手口のドアも外壁に向かって直面していないため、道路から室内が直接見渡すことができず風雨も吹き込む心配がありません。
キッチンから、ダイニング・食品庫を経由してサービスヤードに出る事例です。サービスヤード上部は、物干しなどのサービスバルコニーとなっていて風雨を遮るようになっています。サービスヤードから前面道路と裏庭側の両方向に抜けることができます。
キッチンに連続するユーティリティに勝手口が設けられた事例です。勝手口を出ると6帖の広さを持つ屋根のある空間がつながっています。主に洗濯物干し場として利用される空間ですが、設備機器置場や野菜などのストックなど風雨から守られた空間として利用されています。
キッチンに直接勝手口を設けなければならない場合は、勝手口のドアが生活空間から直接見えないように目隠しの壁を設けています。これは古い町家をリノベーションした事例ですが、勝手口上部には既存のバルコニーが張り出し、それを庇空間として利用しています。敷地の背面には、両親の住む実家があり、勝手口からお互いの住宅を行き来できるようにしました。
2階に生活空間がある事例です。南東に面するサービスバルコニーは、キッチンと洗面脱衣の両方向から出入りできるようにして、主に洗濯物干し場として利用できるようにしています。家事動線に回遊性を持たせることによって、使いやすい空間をつくりだしています。
もう一つの玄関としての勝手口
勝手口は玄関と同様に、物干しやゴミ出しなど日常的に利用する出入口です。必要な場所に取って付けたような出入口ではなく、家庭の(家事動線としての)表玄関として機能的な出入口である必要があります。