コラム017|住まいのあらゆる要望に、「100%+α」で応えたい

住まいのあらゆる要望に、「100%+α」で応えたいコラム
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事務所の資料など整理して出てきました。独立して間もない頃の住宅情報誌のインタビュー記事です。(ちょうど11年前)

当然のことですが、今と基本的な考えは変わっていません。

---以下、掲載記事より---

住まいのあらゆる要望に、「100%+α」で応えたい。

「その家で暮らす方々の“満足”を最優先したい」

-家山さんは、住まいのジャンルや工法には特にこだわらないとお聞きしたのですが、それはどうしてなんですか?

家山)住宅の場合、何よりも「その家で暮らす方々の満足が最後先!」それが私のポリシーです。得意分野はあって、当然ですが”俺はこの工法だ”的な建築家のスタイルをクライアントに押し付けるのは、おかしい、というか本末転倒だと考えます。

 

-クライアントのいう通りの設計ということではないですよね?

家山)もちろんです(笑)。私の場合、要望は一旦全てお聞きしますが、コストや納期なども考慮した上でプロとしての付加価値(+α )を加えてクライアントに最も相応しい住まいを、白紙の状態から設計します。クライアントの数だけ、思想の住まいがある訳ですから。

 

-時々耳にするんですが、クライアントからの要望を、あまり取り入れない傾向の建築家の方もいるようですね。

家山)まあ、考え方は人それぞれですので(笑)。ただし設計した家を「自分の作品」と建築家自身が呼ぶのは、いかがなものかと。

 

-作品ではないんですね?

家山:家は設計した建築家のものではなく、そこに暮らす家族のもの。
家は家。決して芸術作品ではありません。クライアントの要望と建築家の設計プランが合致するバランスが大切なんです。この視点を見失うと、満足して暮らせる住まいは難しいでしょうね。

 

-重要なポイントだと思うので、もう少し詳しく説明してください?

家山)そうですね、分かりやすく言うとすれば、私は建築家はいわばレストランのシェフのようなものだと考えているんです。

 

-レストランのシェフですか?

家山)単純に料理を食べるだけなら、家庭でもいいはずです。食欲を満たすためだけに、レストランには行かないでしょ。それは日頃、家庭で食べる料理とは違った目的があるからですよね。

 

-家では作れない手の込んだ美味しい料理とか、雰囲気とか・・・

家山)つまり、ちょっと特別なことを求めているわけです。設計も同じで、ただ部屋を並べるだけなら素人にだってできるかもしれない。

 

-素人でも?そうなんですか?

家山)素人の引いた図面でも、気の利いた工務店に頼めばそれなりの家は建つでしょうね。ただし満足して暮らせるかどうかは疑問です。心からの満足という特別な“1OO%+αの提案”を住まいに求めるなら、やはりプロに依頼しないと難しいでしょう。マイホームは人生で最も高価な買い物。後悔したくないですからね。

 

「敷地の“内と外”に配慮した住まいを」

-家山さんにとって“これからの家”に求められるものって、何だとお考えですか?

家山)難しい質問ですね。コストや素材、バリアフリー、リサイクルやエネルギー問題など色々ありますが・・・個人的に重要だと考えているのは、敷地の中だけではなく敷地の外まで配慮した家です。

 

-といいますと?

家山)街並みの一環としてのデザインや、外部に緑を提供する植栽計画なども大切だと考えます。

 

-なるほど、外に向かってもデザインされた家ですか。美しく整った街並って人気も高いですし。

家山)自分の家だからどんな家でもいいだろうというのは、もはや過去の話だと思います。欧米や諸外国を例に挙げるまでもなく、住環境を重視する風潮は、日本でも高まって行くでしょうから。

 

-家そのものというか、家の中の機能や環境については今後どうなっていくとお考えですか?

家山)光や風、借景など、家の外のファクターをどういう形で家の中に取り入れるかが益々重要になると思います。家の外部と内部の融合は、これからの住まいには不可欠なポイントでしょうね。

 

-それでは最後に、これから家を建てようと思ってている方に、何か一言アドバイスをお願いします。

家山)まずは建築家に、気軽に相談することです。大切なのは建築家との相性。ある意味お見合いみたいなものですから、直感的にフィーリングが合う建築家が見つかるまで、何人かの建築家と会ってみることをお薦めします。そして建築家が決まった段階で、諸条件などの細かい要望や普段のライフスタイルなどをできる限り詳しく話し、密なコミュニケーションを取ること。それが“心から満足できるマイホーム”の第一歩なのですから。

[住まいル 2005年3月]

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