最初の直感が大切
人との出会いや、お気に入りのものなど、いろいろ検討した結果第一印象で気に入ったものに戻ってくることは良くあることですね。
設計でも、最初の提案から打合せを重ねるうちに計画案が変更していきますが、最終的に第一案に戻ってしまうことも良くあります。建築の設計は、クライアントの要望や法的な条件を、ただ単に積み上げてできるものでは無く、さまざまな条件から問題点を見つけ出す作業でもあります。その最初の直感で出した案が最終的に気に入ってもらえると、出した答えが正しかったと嬉しくなります。
末町の家のリノベーション
要望をうかがって、最初に出した提案のスケッチです。和室の続間と洋間のダイニングキッチンがある一般的な木造住宅のリノベーションですが、壁面や家具のパネル化によって要素を単純化し、現代の生活に合うようにスッキリとした空間にしました。大きな間取り変更をしないで工事費も抑える提案です。
提案スケッチの右上のLDK部分です。造り付けソファーは無くなりましたが、ほぼ計画通りになりました。
提案スケッチの下の図をキッチン側から見た写真です。廊下にある収納・トイレ・洗面所のドアを一体の大きなパネル状にしてスッキリと見える様にしました。
直源醤油ショールーム
かつて、醤油の醸造が行われていた蔵を、ショールームにするための計画です。新しく作る杉のブースを点在させ、醤油の杉桶が並んでいた痕跡をイメージさせる最初の提案です。
こちらも、最初の提案イメージをほぼそのまま実現することができました。
最初のイメージスケッチは、CADやCGできちんと製図されたものよりも、ラフスケッチの方がイメージを直感的に書くことができます。まだ具体的に詳細が決まっていない段階で、完成された図面を書くとイメージが固定化されがちです。イメージ図から情報を共有しながら図面としてまとめていきます。
クライアントの要望を読み取る
直感のアイディアと言っても、当てずっぽうな突飛な提案というわけでは無く、クライアントが望んでいる(あるいは、それを少し越えた)ことを、いかに読み取って理解するかと言うことです。最初の打合せの時には、要望書として書面を書いてもらいますが、こちらには家族構成や連絡先などの一般事項のみ記入してもらい、具体的な要望については直接話をしながら聞き取ります。打合せの中の、言葉の断片や雑談の中に設計のヒントが隠れていることもあります。
最初の面談で、3時間ぐらい話をすることもあります。設計者の人柄や、仕事の進め方などの疑問点をクライアントに理解してもらうためにも、面談時間は長くなりがちです。もちろん、具体的な設計作業や調査作業に入るまでは、費用の発生しない無料相談なのでご安心ください。