相見積もりで工事費は下がる?
住宅を建てるときに、プランやデザインも大切なことですが、一番の関心事は工事金額ではないでしょうか?
クライアントと打合せを重ねて作成した設計図を元に、工事をする施工者が見積をします。一般的には3社程度の施工者に設計図を配布して、同一条件で見積もりしてもらい比較します。このことは一般的に、相見積もり(あいみつもり)といいます。
相見積もりによって、各社の見積金額が数十万から数百万の差が出て、安い金額の施工者に決定すれば設計費用も簡単に捻出されると言われることがあります。はたして、それは正しいことでしょうか。見積金額に大きな差が出るのは、設計図に示してある仕様や数量が不明瞭なため起こることだと思います。
不明瞭な箇所は極力減らす
家山真建築研究室では現場が終わると、工事中に変更になったことや決定した品番、納まりの変更箇所などを竣工図に反映して次回の設計につなげます。設計図には家具や建具の金物にいたるまで、ほとんどの仕上げ材料はメーカー・品番を指定してあります。一般名称で書かれた商品ではメーカーによって価格やデザイン・性能が異なります。あまり細かく図面を書くと、見積が高くなる。といわれますが、ほとんどの品番を指定してあれば曖昧さが無い分、各社似通った金額になってきます。ただし、木製建具・家具などの製作するものや、左官や板金などの職人の技量による作業は施工者によって金額のばらつきがあります。それでも10%程度のばらつきでしょうか。
見積の時には見積明細書のほかに、工程表、現場代理人(現場監督)予定者の経歴書も一緒に提出してもらっています。
相見積もりはトータルな判断で決めよう
金額の大小のみで施工者を決めるわけではありません。見積の比較一覧と、その他の提出物などトータルに判断して施工者を決定します。最終的にはクライアントに判断してもらいますが、この事例の時は見積が丁寧にしてある2番目に安い施工者に決定しました。極端に安い施工者は見積落ちが多かったり、設計図の仕様を勝手に変更して見積をしてきます。金額だけで施工者を決めると、工事が始まってからのトラブルが心配されます。
設計事務所は、相見積もりで浮いたお金で設計をしているわけではなく、適正な設計費用を基に設計業務を行って最善の住宅ができるようにするのが仕事なのです。