毎日使うから、戸締まりと共に素材感も大切です
前回、ガラスを使って明るく開放的な玄関の事例について説明しました。コラム037|光のあふれる玄関は外との接点
しかし、開放的であると共に玄関戸は重厚感のある、しっかりと戸締まりのできるものにしたいですね。サッシメーカーのカタログを見ると、住宅用のアルミ玄関戸が、無数に並んでいますが、無個性で冷たい感じがします。玄関戸は毎日使うものなので、耐久性も大切ですが、素材感を生かしたオリジナルのものだと気持ちいいですね。
桂町会館では、米杉の板でドアを作りました。ドアは板のみで閉鎖的ですが、ドアの両側の壁はガラスで内外が見通せます。常時人がいる施設ではないので、ガラスは防犯ガラスを使用しています。外から続くデッキ材の床が玄関内部まで連続して、玄関ドアと共に暖かみのある雰囲気を出しています。
田園の二世帯住宅では、広い玄関ポーチの奥に、ヒバと栗の木材を交互に並べたドアで空間のアクセントにしています。ドアの両側には柱を建てて、大きなガラスと重厚な木製ドアをしっかりと支えています。ポーチの側面の壁はマヂックコート塗の素材感のある左官工法で仕上げてあり、玄関内部まで連続しています。
南砺市の家では、米杉板の引戸と格子網戸を二重に建て込み、板戸を開けて格子網戸で通風を確保できるようにしています。上の写真では、格子網戸を開けて固定のガラス壁の背面に納まっている状態です。壁はジョリパット塗で、こちらも玄関内部まで連続しています。
東山の家2では、米杉の格子引戸と米杉の板を、閉めるとぴったりと一体化して戸枠の無いスッキリとした納まりとしています。
久安の家では、庇が小さく雨にさらされることと、コンクリート打放のクールなイメージに合わせてスチール製のドアを製作しました。
石引の家では、全面にガラスを入れた木製框(かまち)の引戸で、明るく、自転車なども出し入れしやすい大きな開口を確保しています。
オーダーの玄関戸は特別な事ではありません
せっかく建てるこだわりの住宅なので、玄関戸もこだわりたいですね。家山真建築研究室では、基本的に玄関戸は既製品を使わずに、それぞれの家にふさわしいものを建具屋さんに製作してもらっています。木製建具は風雨にさらされると劣化し、すきま風なども心配されますが、そのために建物毎に設置位置や納まりを考慮・検討して設計を行っています。