コラム034|玄関・アプローチの照明

桂町会館 外部照明コラム
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玄関やアプローチを照らすための、外部空間に配置する照明器具はどのようなものが良いのでしょうか。

木造の軒裏を美しく見せる

木造住宅の大きく跳ね出した軒下空間は、内部空間と外部空間を繋ぐ中間領域として、日差しを遮ったり、雨宿りをする機能的な役目を持っています。この空間を夜も魅力的に見せるために、外壁に全方向に光が広がるブラケット照明をつけることによって、軒裏に光が広がり規則正しく並ぶ垂木の陰影がきれいに浮かび上がります。

桂町会館では、奥行1.2mの軒下空間を幅23mにわたって照らすことによって、対面する公園に灯りを提供しています。

桂町会館 外部照明

 

南砺市の家では、玄関までのアプローチ空間の軒裏を照らし、奥まで誘導します。

南砺市の家 外部照明

 

八幡の土蔵では、蔵を覆う屋根が浮かんで見えるように、軒裏全体をライトアップしています。

八幡の土蔵 外部照明

 

囲まれた空間には光を溜め込む

囲まれたフラットな天井の玄関ポーチでは、ダウンライトを天井に埋込み、囲まれた空間全体に光を溜め込むように配置します。

アートギャラリーの尾張町計画では、伝統環境保存区域の街並みに無用な光が漏れ出さないように、玄関ポーチ内を重点的に照らし、道路に面したファサード面は暗くしています。ポーチの奥には、明治期に建てられた旧い土蔵があり、小さな窓から内部の灯りが漏れています。

尾張町計画 外部照明

 

東山の家2では、玄関ポーチ正面の板張りの外壁と格子戸が浮き立つように、ダウンライトの光をポーチ内に溜め込んで外壁面は闇に溶け込むように意図しています。こちらも金沢市内の伝統環境保存区域に建つ住宅で、小さな口径のダウンライトを用いることによって光源が目立たずに、必要な灯りをコントロールすることができます。

東山の家2 外部照明

いずれも、一般的なシンプルな形状のブラケット照明やダウンライトを用いて、照明器具のデザインではなく、光のデザインによって空間を創り出しています。