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コラム010|雨に濡れずに車に乗りたい

庇が回廊になってガレージと住宅を行き来する あさ出かけるときや荷物の出し入れをするときに、雨が降っていると車に乗り込むのが億劫ですね。この住宅は敷地にゆとりがあるためガレージは別棟にして兼業農家を営む母親の作業場を兼ねています。 [写真上/田園の二世帯住宅]十分な奥行きをもったガレージの庇が悪天候時の出入りを容易にし、そのまま一直線に伸びて母屋の住宅玄関部分につながる長さ20mの回廊になっています。 幅1.8mの回廊は、ゆとりがあるため屋根のある屋外スペースとして利用したり、両脇に花を飾って来客を迎え入れるゲートとしても機能しています。 敷地のまわりに設けた板塀や建物の板壁と合わせて、広い敷地に適度に囲まれた落ち着いた場所をつくっています。  ご質問・お問い合わせは、こちらからどうぞ 関連記事 こちらもご覧ください コラム目次
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コラム009|アプローチ空間で期待感を高める

奥行きを創り出す 建築のアプローチは、内部空間へ至る印象を決める重要な場所です。建物が道路に面していたり、奥行きが充分とれない場合であっても、道路と平行にアプローチ空間を長く取って建物の中に入る期待感を高めることができます。 [写真上/直源醤油ショールーム]道路に面した土蔵の小さな入口から内部を見るとフロストガラスのスクリーンで仕切られて内部を見通すことができません。下見板張りの蔵の外壁に開けられた開口部の奥に、明るいガラス面が人を中へと誘い込みます。 スクリーン越しに内部のあかりと雰囲気を感じながら狭い土間のアプローチ空間を通って、突きあたりで視線の向きを変えると広い蔵空間が広がります。 [写真上/葬送空間えにし]セレモニーホールの正面玄関はフロストガラスのスクリーンで仕切られています。 ファサード面のフロストガラスのスクリーンは入口までの距離をとることによって風除室としての機能的な役割を果たすと共に、参列者が告別の場であるホールへと至るまでの厳かな精神に切り替え、故人を偲ぶ回廊としての役割をもっています。  ご質問...
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コラム008|トイレのドアは目立たないように

閉めると壁と一体化するドア ドアは、ある部屋から別の部屋への出入口。それがドアとして存在することによって意味があります。しかし時には、それがドアとして意識されないようにデザインしたいときがあります。枠で縁取られたドアは主張が強すぎるので、トイレのドアには枠が無くドアを閉めると一つの壁のようになります。 [写真上/田園の二世帯住宅]階段室の突きあたりのトイレは天井いっぱいの引戸を閉めると一枚の壁となり、開けても枠が見えずに階段室と一体的な空間になります。写真は引戸を開けた状態です。 [写真上/久安の家]玄関ホールに面するトイレのドアも袖パネルと同材で仕上げ、天井いっぱいの開口になっています。 もちろんドアの召し合わせは、閉めたときにフラットになるように工夫が必要です。  ご質問・お問い合わせは、こちらからどうぞ 関連記事 こちらもご覧ください コラム目次
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コラム007|傘の収納場所

傘の居場所を決める 家族用の内玄関を設ければ、下足入や収納、脱ぎっぱなしの靴が散らかっていても、お客さんを迎え入れる玄関はいつも奇麗に片付けておくことができます。 雨天時の来客の傘は、一時的な収納として傘立てなどを利用することが多いと思いますが、そこに生活する家族の傘は、家族の人数以上の本数が玄関にあるのではないでしょうか。せっかく設けた内玄関も奇麗に片付けておくためには、傘をスッキリと納める場所が必要です。 [写真上/石引の家]下足入の一区画を傘入れとして、中に架け渡したパイプに傘を吊るし、濡れたまま収納しても玄関土間に直接傘の滴が落ちるようになっています。 [写真上/神田の家]扉を閉めてしまえば、たくさん傘があってもスッキリと収納できます。  ご質問・お問い合わせは、こちらからどうぞ 関連記事 こちらもご覧ください コラム005|洗面所の収納 コラム006|トイレの収納 コラム014|見せる収納・見せない収納 コラム目次
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コラム006|トイレの収納

収納するものの寸法に合わせて棚を作ろう トイレは、そこでおこなわれる行為が明確な機能的な空間ですが、小さな空間が落ち着いて、ついつい長居する人もいるのではないでしょうか。手洗器を小さなカウンターと一緒に設けると読みかけの新聞や携帯電話など、チョットしたものを置いたりするのに便利です。 スッキリとした住まいでも、トイレの中は以外と生活感あふれる場所になりがちです。予備のペーパーや掃除道具など、あまり目に触れたくないものもあります。 スライド式の扉をカウンターに沿って開けると、予備のトイレットペーパーや掃除ブラシを入れられる収納棚になっています。普段は収納棚として目立たないようにスッキリとしたデザインにしています。 便器の側面にカウンターが来る場合はペーパーホルダーもカウンターに取り付けて、いろいろな物が壁に付かないようにしています。手洗器・収納棚・ペーパーホルダー・タオル掛を集約して配置すると綺麗に納まります。家全体の家具や建具と同じ材料で作れば全体が統一されたデザインになります。もちろん棚の中にはトイレットペーパーと掃除ブラシが、ちょうど入るように寸...
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コラム005|洗面所の収納

ミラー収納を活用しよう 住宅の洗面所は生活スタイルによって必要とされる機能は少し異なってきますが、洗面器、鏡、収納、照明は必需品です。歯ブラシや洗濯用具・洗剤など、細かなものは見えないように収納できると空間がスッキリと片付きます。鏡を収納の扉として工夫した例です。 は洗濯スペースを兼ねた洗面所です。鏡の引違い戸を開けると鏡の幅いっぱいの収納で、洗面、洗濯用具などがしまえます。シンクは理科室の実験用シンクで、洗濯の下洗いや、猫の足を洗うのに重宝しているそうです。照明は、光源が直接見えない間接照明型の器具を設置して柔らかいあかりが広がるようにしています。 は単独の洗面スペースのため、収納は三面鏡になった中央部分だけです。左右の鏡を開けると、通風・採光のための窓があります。普段、鏡を閉じた状態では窓の下半分のみ開放されて手元に外の光を導くとともに、外部からの視線を防ぐ目隠しパネルとして機能しています。 既製品の洗面化粧台は便利な機能や収納など満載ですが、洗面所の小さな空間には存在感がありすぎます。空間にあった家具としてデザインすれば違和感なく納めることがで...
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コラム004|空間を包み込むあかり

反射光で空間全体を包み込む 天井にダウンライトを埋め込んだ場合、直接光によって照らされた床面が明るくなる反面、天井面は暗くなりがちです。天井にたくさん照明器具をつけるよりも、天井面や壁面を明るくすると空間全体が明るく感じられます。 ブラケットやペンダント照明など光源が壁や天井から飛び出した照明器具は空間全体に光を拡散させますが、器具そのものが主張してきます。「あかり」そのものが欲しい場合は間接光を利用します。 大野町の家では、古い天井を残してリフォームされた玄関の下駄箱の真上に小さなダウンライトをひとつだけ設置しました。下駄箱の左側は廊下に繋がるメインの玄関。右側は台所に繋がる勝手口になっています。ふたつの空間を仕切るように置かれたBOXの天板はステンレスのバイブレーション仕上で、ダウンライトのあかりを柔らかく乱反射させて空間全体を照らしています。 照明器具からの直接光は陰影のある強烈な光。一度反射させて拡散した間接光は包み込まれるような光となります。 「明-暗」による光のコントラストと共に、光の「強-柔」が空間の質を変化させます。 ...
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コラム003|ずれているダウンライト

部屋全体を均一に照らす必要はありません 住宅や店舗の設計において、照明のデザインは重要なポイントです。照明器具のデザインも大切ですが、あかりのデザインがより大切です。しかし何でもダウンライトにして天井に埋め込んだり、間接照明にして器具を隠すことが良いわけではありません。空間の中に明暗を設けて、あかりの重心を偏らせることによって少ない照度で豊かな空間が生まれます。 [写真上左/東山の家]玄関の照明は、天井の中央ではなく下駄箱の上を照らしています。飾棚としてのしつらえをライトアップすることと、照明の真下に人が立ったときに強烈な影ができないようにしています。 [写真右上右/田園の二世帯住宅]廊下の照明は片側に寄せて奥の階段室のダウンライト、更にガラス戸を開けたリビングの照明器具と一直線上に並んで奥行きのある空間を演出しています。 [写真上/葬送空間えにし]建物正面のアプローチの照明も奥側に寄せて、明るい壁面を浮かび上がらせています。 全体が均質だった空間が、照明の位置を少しずらすだけで明暗の対比が強くなり空間の深みがでてきました。  ご質問...
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コラム002|直射日光と窓

住宅の計画において、採光は基本的なポイントです。誰もが明るい家を望みます。 建築基準法では居室の床面積の1/7の採光窓面積が必要とされ、8帖の部屋の場合約1.9平米(例えば幅1.9m×高さ1m)の窓が必要です。厳密には窓の位置条件(高さや隣地からの距離など)によって採光補正係数を考慮するため、必要な窓面積は変化します。 窓の大きさは、法的に求められる面積を確保することは必要ですが、実際には室内と外部空間の関係性によって決められます。庭やテラスに出入りするための大きな窓や、風景を切り取って見る小さな窓、風の通り道を確保する窓など必要とされる機能とデザインによって決められます。 北陸ではだいたい冬の太陽高度は32°、夏の太陽高度は78°くらいです。寒い冬は暖かい日差しが室内に差し込むと快適ですが、暑い夏には日差しを遮りたいものです。リビングの南の窓側に吹抜をつくり、屋根の軒を出すことで直射日光をコントロールできます。夏は軒が日差しを遮り、冬は吹抜上部の窓からの日差しが部屋の奥まで差し込んでくるのです。 写真は田園の二世帯住宅の冬の日射しです。 ...
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コラム001|設計という仕事

設計とは問題を解決すること 建築の設計とは、建築主の要望(必要諸室、予算、ライフスタイル)をはじめ、敷地条件(広さ、方位、法規制)、周辺環境(街並み、場所性)など多岐に渡る与条件の中から問題点を見つけだし、それに対する答えを見付けることだと思っています。 設計のことを「建築のデザイン」ということもありますが、一般的に「デザイン」という言葉は、きれいに飾り立てる付加的な装飾と捉えられている場合もあります。本来、デザインとは「ある一定の用途をもつものを作ろうとするとき、それが用途にかない、しかも最も美的な形態をもつように計画・設計すること」であり「ある目的に向けて計画を立て、問題解決のために思考・概念の組み立てを行い、それを可視的・触覚的媒体によって表現・表示すること」(デザイン小事典:福井晃一編,ダヴィッド社)とされています。 設計者に求められるのは、流行の形態を真似ることや自己表現ではなく、与条件の中から見つけだした最適な空間を提供することなのです。 どんな家を望んでいるのかまだはっきりとしない場合でも、建築主の要望を引き出すためのコミュニケ...