リノベーションの現地調査 御所町の家

赤外線カメラで外壁温度の確認業務日誌
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リノベーションの前に計画の妥当性の検討

不動産購入前の現地確認に同行

中古住宅を購入してリノベーションするために、現地を確認して購入するかどうかの判断をしたいという依頼がありました。電話と、その後にメールで簡単な要望や、不動産の物件情報を送っていただき、2日後には現地で待ち合わせることになりました。築30年以上の木造住宅のため、構造、断熱、木材の腐食が問題点として考えられました。

構造的には、新耐震基準(1981年)以降の建築ですが、2000年からの現行基準でないため、十分な耐震強度はないが旧耐震基準に比べればしっかりとしているので、今度の調査によって補強などの方針を検討する。ほぼ総2階建てで、上下のプランの重なりに無理がないことが分かりました。

断熱は、床下にスタイロフォームが入っているが床面に密着していないことと、隙間が多い施工になっている。壁、天井にがグラスウールが入っているが、現在の断熱基準からするとかなり断熱性が悪いので断熱補強をする方向で解決できそうです。

たたみをめくって床下の確認

和室のたたみと床板をめくって床下を確認したところ、地盤は十分に乾燥し、目視できる範囲では腐食やシロアリの形跡は見られませんでした。

床下の確認

現地調査の方法

現段階では、物件購入前の作業のため、基本的に非破壊の検査で進めます。床下の確認のみ、不動産業者の許可を取って現状復旧できる和室の床を最小限まくって確認しました。

断熱については赤外線カメラで確認します。外から見た外壁の温度がそのまま中から見た2階の天井や壁の温度になっているため、断熱性が非常に悪いことが分かります。また小屋裏部分が日射によってかなり高温になったり、ダウンライト廻りの断熱材の欠損もよく分かります。

赤外線カメラで外壁温度の確認

外壁温度

赤外線カメラで天井の温度の確認

天井温度

 

建物の履歴の大切さ

履歴がなぜ必要か

この建物は、今回購入しようとするクライアントで3代目の所有者になる物件です。建物の登記で所有の履歴は当然分かるのですが、現在の建物が建設当初の姿のまま残っているのか、手を加えているのかを知る必要があります。住宅の場合は、増築などがなければ、ほとんど確認申請が不要となりますが、確認申請を出さなくても法に適合するように設計と工事を行う必要があります。そのためには建設当初の確認申請書と設計図が、所有者が変わっても引き継がれていかなければならないのです。これまでの改修工事では、何も残っていないか、平面図と立面図がある程度でしたが、この物件の場合はきちんと残っていました。

この調査の後、そのまま設計監理の仕事を依頼していただきました。築年数からすると、次の所有者に建物が渡る可能性はないと思いますが、全体予算から考えて、今回のリノベーションで直したところ以外も適宜修繕しながら住んでいく必要があるため、今回手を入れる部分と中・長期的に手を加えていくところを考慮しながら計画を進めていこうと思います。