1年検査とは
建物の各部が馴染んだ頃に再点検
昨年、設計監理を行った大場町のアトリエの1年検査を行いました。建物が完成してから1年後に、施主、施工者、設計者が一緒に建物の不都合を是正するために検査をすることです。
設備機器などは製品そのものに1年保証などのメーカー保証がついていますが、建築は様々な部材を現場で組み合わせて作られるため取合部などで不具合が出てくる可能性があります。主に、建具の建て付けや、壁際の隙間など。冬と夏を経過し、部材の収縮が落ち着いた頃に点検をすることによって竣工時には気がつかなかったけれど、使っていくうちに不具合が見つかった箇所もでてきます。
今回は、玄関引戸の鍵の掛かりがよくないため建具の建て付け調整。壁の隙間の目立つところの板の張り替え。内部建具のハンガー引戸レールの調整をすることになりました。後日、建具屋さんと大工さんの日程調整をして手直しをするようになりました。
追加の工事が発生しない限り、通常1年検査に伴う是正工事は無料です。
施主の暮らしぶりも再点検
1年検査では、建物の検査だけではなく、雑談の中から1年間過ごした暮らしぶりも再点検します。実際の使い勝手の感想や、新しい空間をうまく使いこなしているかなど今後の設計のヒントとなることもあります。
施主は、金属と木を中心としたアクセサリーをご夫婦で作られている作家です。前の投稿で紹介した金澤誌にも掲載されています。
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吹抜のショップスペース。ラワン合板の壁が少し焼けて、既存の土蔵に馴染んできました。
玄関を入った正面には、ガラス張りのキッチンがあります。
工房スペースでは工務店の奥田さんと施主が打合せをしています。
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ペンダント照明の光源の確認 大場町のアトリエ
内部のクリーニングも終わり、建具の塗装をしている段階です。それと合わせて照明の光源の確認です。工房の吹抜の照明は2階から吊り下げたペンダント照明です。白い陶器製のモーガルソケットを黒い丸打コード(こたつのコードのように糸で編み込んだコード)で吊り下げた器具を電気施工者に作成してもらいました。 夕方、暗くなってからクライアントとモーガルソケットに付ける電球の検討をしました。E26の口金のLEDや蛍光灯も付けることはできるのですが、基本的に白熱電球を付けることを当初から考えていました。40Wと60Wのクリア球とシリカ球。明るさ感や見え方など、電球を入れ替えて確認しました。結論としては60Wのクリア球にしました。いわゆる裸電球ですが、光源から全方向に光が広がる光源が空間を包み込むような優しいあかりとなります。また、キラッと輝くフィラメントが眩しさはありますが暖かさを感じさせます。 ペンダント照明のみ点灯した場合の床面照度は15ルクスで、リビングの照度基準の1/10程度と非常に暗いのですが、心地よい明るさ感でした。各所に配線ダクトを設けてあるため、適宜、使用しながら...