造作工事は設計の要 御所町の家

米杉で作り直した玄関枠業務日誌
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造作工事とはどんなことをするのか

モノとモノの接する部分のデザイン

御所町の家は改修工事(リフォーム・リノベーション)のため、基本的に柱など建築の骨組みは既存のものを利用して、部分的な補修箇所のみ構造材に手を加えました。一般的に大工さんの作業は構造材を扱う仕事と、仕上げ工事に関わる造作を扱う仕事があります。それぞれ別の大工さんが担当することもありますが、ほとんどは一貫してひとりの大工さんが請け負います。

造作工事は、フローリングや板張りなどの仕上げそのものを施工するのはもちろんですが、建具(ドアや引戸)の枠や、仕上材端部の見切材など建築要素が取り合う部分をつくる大切な仕事です。既製品の建具を取り付ける場合は、枠ごと既製品なので、寸法と基本納まりさえ守っておけば何も心配することもなく施工されますが、個々の建築に合わせて設計する場合は、枠材の寸法や納まりを検討して製作・取付けしてもらいます。設計段階である程度の納まり図は書いてありますが、改修工事の場合は解体工事の後、現場寸法を測って図面にまとめて施工者への指示書とします。

枠廻り詳細図施工図として建築会社に納まりも含めて丸投げする設計事務所もあるようですが、家山真建築研究室ではデザインする設計者としての責任で手書きの原寸図を素早くまとめ、現場打ちあわせをして決定します。改修工事では特にスピードが求められるため明細に作図することよりも、設計意図が分かるように単純化して書くようにしています。

図面は大工さんや各職人さんにわかりやすいように、施工箇所にそれぞれ張り出しておきます。

枠廻り詳細図

現場で打ち合わせた内容はそのまま記入しておくほうが、ライブ感があって職人さんも間違えが少なくなるようです

玄関の納まり図

玄関はデザインと機能性が大切

玄関ドアは、人を迎え入れる場所であるとともに、外部の環境から住宅を仕切る設計上重要な部分です。既存の玄関ドアは板張りで、両側にガラスの入った明快なものでしたが枠の木材が、石の下枠に直接取り合っているため水を吸って腐食していました。

改修前の玄関ドア枠

枠は米杉で新しく作り直し、枠とガラスの下に御影石で立上りを設けて木部の腐食を防ぐようにしました。この後、建具屋さんが枠の内法寸法を確認して玄関ドアの製作にかかります。

米杉で作り直した玄関枠