街並み

業務日誌

奴葺きの屋根|昌永町の家

上棟に引き続き、屋根工事に入りました。瓦桟に一枚ずつ瓦を固定していきます。 普段はガルバリウム鋼葺きの屋根にすることが多いのですが、今回は施主の要望もあり日本瓦葺きの屋根にしました。ケラバいっぱいまで瓦を葺くと道路斜線による高さ制限がギリギリで、屋根の先端とケラバ(屋根の側面側)をガルバリウム鋼板で葺いた、奴葺き(やっこぶき)にしました。 屋根端部で瓦の厚み分が無くなるので高さ制限をクリアできる訳です。下図は確認申請の図面ですが、監理段階でも何度も距離やレベルを確認して図面通りになっているかチェックしました。や 足場の上から周辺の街並みを見渡すと、切妻の黒瓦が多く残っていました。妻面(つまめん)と平面(ひらめん)が地区ごとに秩序を持って建ち並び、それぞれの場所を特徴付けているのだと感じました。
掲載

オンラインマガジンhomifyに掲載 久安の家

ドイツを拠点に、各国に建築・インテリアのオンラインマガジンを発信するhomifyに「久安の家」が掲載されました。 クールな佇まいがお洒落!シンプルモダンな家族の住まい  ご質問・お問い合わせは、こちらからどうぞ 関連記事 こちらもご覧ください 掲載一覧
コラム

コラム036|塀のデザインは、建物と一体的に計画を

何のために塀を付ける? 住宅を建てたときに、敷地境界に沿って塀を建てることがあると思います。隣地との境界を明確にして、誰でも勝手に入ってこないためにも必要となります。近隣のコミュニティが緩やかに繋がっている地域の場合は、物理的な境界線と言うよりも、プライバシーを守るための緩衝体としての役割があります。 郊外の事例 田園の二世帯住宅では、道路拡幅による建て替えで、交通量が増加することが予想できるため、子供たちが安心して遊べる庭を道路から遠ざける必要がありました。塀が取って付けたデザインとならないように、塀を建物の壁面ラインの延長線上に設けたり、住宅の外壁杉板張りと同じ素材で作っています。 また、塀をずらしたり、角度を振って塀同士に隙間を作り、田園地帯の地域住民の緩やかなつながりが途切れないように、そこから人が自由に出入りできるようにしています。 板塀の途中にある縦格子は、住宅のガラス張りの階段室(上の写真の建物のくびれた部分)の延長線上にあります。階段を上下するときに、縦格子の隙間から敷地の外が見えることを意識しています。 まちなかの事例 石...
コラム

コラム034|玄関・アプローチの照明

玄関やアプローチを照らすための、外部空間に配置する照明器具はどのようなものが良いのでしょうか。 木造の軒裏を美しく見せる 木造住宅の大きく跳ね出した軒下空間は、内部空間と外部空間を繋ぐ中間領域として、日差しを遮ったり、雨宿りをする機能的な役目を持っています。この空間を夜も魅力的に見せるために、外壁に全方向に光が広がるブラケット照明をつけることによって、軒裏に光が広がり規則正しく並ぶ垂木の陰影がきれいに浮かび上がります。 桂町会館では、奥行1.2mの軒下空間を幅23mにわたって照らすことによって、対面する公園に灯りを提供しています。 南砺市の家では、玄関までのアプローチ空間の軒裏を照らし、奥まで誘導します。 八幡の土蔵では、蔵を覆う屋根が浮かんで見えるように、軒裏全体をライトアップしています。 囲まれた空間には光を溜め込む 囲まれたフラットな天井の玄関ポーチでは、ダウンライトを天井に埋込み、囲まれた空間全体に光を溜め込むように配置します。 アートギャラリーの尾張町計画では、伝統環境保存区域の街並みに無用な光が...
コラム

コラム016|パンチングメタルの外観

商業建築では、正面の外観(ファサード)をアルミサッシとガラスのカーテンウォールとし、デザイン要素を単純化して、スッキリとした外観にすることがあります。物販店舗では、1階は出入口とショーウィンドウのために透明なガラスで店内の見通しをよくする必要がありますが、2階より上は必ずしも外から店内が見えなくても良い場合があります。むしろ、外観を特徴付けるデザインが求められます。 かわさき画材ではガラスの内側にアルミのパンチングメタルを入れています。外部からはガラスとアルミのメタリックな表情、内側からはパンチングの孔を通して外の様子が微かに見えるようにしています。窓の開閉のためにパンチングメタルも開閉する必要があるため、網戸用のアルミ型材を利用して製作しました。 夜間は店内の明かりが、パンチングの孔を通して浮かび上がることも考慮しました。写真は設計時の模型での検討の様子です。 パンチングメタルの開口率(孔の直径とピッチ)は、図面だけでは確認できないので実物サンプルを数種類作成して、比較検討して決定します。 このような現場で判断する事項も監理の重...
コラム

コラム001|設計という仕事

設計とは問題を解決すること 建築の設計とは、建築主の要望(必要諸室、予算、ライフスタイル)をはじめ、敷地条件(広さ、方位、法規制)、周辺環境(街並み、場所性)など多岐に渡る与条件の中から問題点を見つけだし、それに対する答えを見付けることだと思っています。 設計のことを「建築のデザイン」ということもありますが、一般的に「デザイン」という言葉は、きれいに飾り立てる付加的な装飾と捉えられている場合もあります。本来、デザインとは「ある一定の用途をもつものを作ろうとするとき、それが用途にかない、しかも最も美的な形態をもつように計画・設計すること」であり「ある目的に向けて計画を立て、問題解決のために思考・概念の組み立てを行い、それを可視的・触覚的媒体によって表現・表示すること」(デザイン小事典:福井晃一編,ダヴィッド社)とされています。 設計者に求められるのは、流行の形態を真似ることや自己表現ではなく、与条件の中から見つけだした最適な空間を提供することなのです。 どんな家を望んでいるのかまだはっきりとしない場合でも、建築主の要望を引き出すためのコミュニケ...
業務日誌

景観計画区域内行為の届出書提出 東山の家2

先日、見積依頼をした見積書の提出を待つ間に、申請関係の書類を作成しています。 金沢市では、平成21年(2009年)より、景観法に基づく新しい景観条例が施行され、金沢市全域を景観計画区域と定められ、地区ごとに細かく景観形成基準が定められています。 東山も伝統環境保存区域に指定されて、建物の形態と色彩について定められており、設計段階から色彩計画をしっかりと、しておく必要があります。 事前に市役所の景観政策課と色彩の許容範囲を打ち合わせた上で、こちらで選定した何色かのサンプルをメーカーから取り寄せて、クライアントに確認をとってから図面にまとめ提出しました。 街並みを保全していくためには、古くからの建築様式や材料を使うことが良いことだと思いますが、現代のライフスタイルや建設コスト、耐久性、デザイン性などから、より広い選択肢の中から選ぶ必要があります。