改修工事は現状調査が大切です。築30年のこの住宅は建設当初の設計図(確認申請書)が残っていましたが、必ずしも図面通りにできているとは限りません。既存図面を基に各部寸法の確認をしていきます。
リノベーションの現地調査についてはこちらの記事もご覧ください。
コラム012|リノベーションの現地調査
まずは現状把握から 既存住宅の改修は、現状調査から始まります。古い平面図が残っている場合もあるのですが、現状とは異なっていたり、構造の図面が無いことの方が多いと思います。 間取りの調査と平面寸法、断面寸法、構造材の位置と寸法を実測します。床下や天井裏を部分的に解体しなければ梁の配置や寸法がわからないので、最小限の範囲で仕上材の解体をして中の様子を確認します。調査が不十分だと工事が始まってから設計変更が必要となり、工事費と工期に影響します。また、天井に隠れた木組みの美しさを発見して、設計の方針を決めるきっかけにもなります。 テレビ番組のような派手な解体作業とはほど遠い、地道な調査作業です。木造在来工法の住宅は解体しやすいつくりになっているので、何度か経験すると解体する勘所がわかってきます。 設計段階では施工業者が決まっていないので設計事務所で調査作業のための解体をしなくてはいけません。調査から現況図面を作成して、「できること」と「できないこと」を見極めてから設計に取りかかります。 リフォームのご相談は、こちらからどうぞ ...
以前は、画板に4色ボールペンとコンベックス(巻尺)でしたが、現在はiPadとレーザー距離計です。3年ほど前から現場監理のペーパーレス化を進め、図面や打合せ記録は全てiPadに入れています。現地調査においても既存図面を表示した上から書き込み、上部の梁などはレイヤーを変えて記入していきます。拡大・縮小をしながら書くことができ、画面自体が発光しているため暗い場所でも老眼が進んだ目にも優しいです!
LiDARスキャナを登載したiPad Proを使えば、3D空間をiPad上に再現して画面上で寸法を測ることができます。各部屋をiPad Proで撮影しながら歩くと家全体をスキャンすることができます。(部屋の画像はプライバシーのことがあるので天井裏の画像)
1階の天井点検口から2階の床梁を見た様子です。手の届かない場所の寸法を画面上で後から測れることができます。無料アプリでここまでできることが画期的です。(但し、精度は1センチ単位)