土蔵を、作家のアトリエにリノベーションするプロジェクトも完了しました。建物本体は極力手を加えずに、床組のやり替えを含めた内装工事が主な工事内容ですが、トイレやキッチンの設置もあるため、約3ヶ月の工期でした。
ひとつの大きな空間を、水廻り部分を仕切りキッチンとトイレ空間を確保し、制作の場となる工房スペースと、ショップスペースを緩やかに区切った空間をつくりました。右側に開けた開口部が蔵への出入口となる部分です。正面のガラスの引戸で仕切られた部分がキッチン。キッチンの背面収納は2階への階段を隠しています。
ショップスペース上部は吹抜となっており、2階からペンダント照明を吊り下げています。ペンダント照明は陶器製のモーガルソケットに裸電球を付けただけの素朴な照明器具にしました。ショップスペースは他の部分より60ミリ床レベルを下げ、工房を訪れた客の動線を緩やかに制限しています。
ガラスのスクリーンで囲まれたキッチンは、クライアントの使い勝手に応じてシンクの位置や大きさ、収納を打合せをして家具工事で作成しました。制作と生活が一体となった空間のため、キッチンは閉鎖的にならないようにオープンにすると共に、工房の粉塵などが侵入しないようにガラスのスクリーンで仕切ってあります。
2階は、既存の床板の上に構造用合板を張って、床板の隙間から1階へ埃が落ちないようにすると共に簡易的に床剛性を高めるようにしています。吹抜部には、杉材で格子状の手摺を設けています。