醤油づくりの歴史を再現
金沢市大野、約380年の歴史のある直源醤油。築100年になる遊休化した「もろみ蔵」を何とか活用したいという思いから、ショールームに改修した。外観は景観を損なわないよう手を付けず、ライトアップされた入り口がさり気なく目を引く。土間アプローチを抜けると、そこにはかつて醤油づくりが行われていた蔵の光景が。空間全体が古い黒塗りの柱やはりで囲まれているため、商品や醤油差しの展示品が並ぶ店舗スペースには新しい白木を使い、照明ボックスを取り付けて明暗と新旧の明確な対比を見せている。
注目したいのは3つの移動可能なブース。喫茶やイベント、展示などに使える空間がほしい、という施主の要望に応えて作った。イメージは醤油づくりに用いた大きな桶。カウンターの頭上に位置するロフトから見下ろせば、昔の醤油づくりの風景がよみがえるようだ。
[建設工業新聞2004年5月21日]