金沢市の南部、満願寺山の麓に近い北側道路に接道する傾斜地で、金沢・加賀平野、遠くに日本海まで眺望が広がる住宅。
眺望を生かし、生活の中心であるリビング・ダイニング・キッチン空間が一番快適で、物であふれない余白のある空間を求められた。
周囲には眺望に対して大きな開口部を設けた住宅が多く建っているが、落ち着いた居住空間にし、前面道路側の架空電線を視界に入らないようにするため、上下方向の開口部位置をコントロールした。
玄関は建物奥に設け、庇のあるアプローチ空間で誘導している。
前面道路側に2台分の駐車スペース。右側の階段は建物奥の玄関へのアプローチになっています。コンクリート打放の壁にはインターホン、表札を設けた門塀で、通路となる階段側にはポスト、裏側には水栓と屋外コンセントを目立たないように設けています。
右側は親族の住宅の庭で、こちら側からも出入りすることを考慮して、アプローチの屋根には柱を設けず建物側から跳ね出した庇としています。
アプローチ階段の突き当たりに米杉板の木製玄関ドア。ドアの両端は透明ガラス(防犯ペアガラス)、ドアを開けるとその奥の裏庭側も透明ガラスで視線が抜ける半屋外的な場所となっています。階段両サイドは建物基礎、既存擁壁を縁を切るためスリットを開けて青葉石の砕石で埋めてあります。
玄関からアプローチ側を見る。両サイドのガラスから外の様子が見えます。
玄関ホールから玄関を見ると、右側は玄関ドア両サイドのガラス、左側は裏庭側のガラスから光が入り込みます。 左側の引き戸を開けると玄関収納となっており、靴等もこの中に収納して下駄箱のような物が見えこないようにしています。
リビング・ダイニング・キッチン空間の間口いっぱいに眺望が広がります。
階段奥の格子戸は玄関ホールへ、階段下りた正面は洗面室に繋がります。キッチンの洗面室側の板壁はリビングとキッチンの収納棚ですが、扉を意識させないフラットな納まりとしています。 キッチンなどの造作家具、建具等はシルバーハートの練付合板で統一しています。
キッチンは対面側のシンクカウンターと、壁面側の加熱機器カウンターの二列配置にしています。レンジフードは造作家具の吊棚と一体化させて、生活空間にキッチン機器の存在感が主張しないようにしました。
キッチンに立つと、階段下の小さな窓から玄関先を見ることができ、来客の気配を感じることができます。 左側の木製パネルは収納棚。分電盤やwi-fiルーターなどもこの中に設置してあります。
幅の狭いスチールプレートのササラの軽快な階段。階段下も収納などにせず、リビングの床面が広がりすっきりとしています。 階段吹抜の上部からも光が差し込みます。
階段下部には玄関先の気配を感じる窓。上部には階段吹抜からの採光のための大きな窓があります。
2階の前面道路側は寝室。将来2部屋に仕切ることも考慮して引分けの出入口としています。天井は屋根断熱で勾配天井としています。
洗面脱衣室には化粧コーナーを兼ねた人造大理石の造作シンクを設けています。鏡は壁の幅いっぱいに設け、左側の壁埋込収納とカウンター引出に洗面・化粧用品を収納しています。右側にはクロゼットを設け、隣接する洗濯室からの収納、浴室を出た後の着替えなど、ここで完結するようにしています。
窓の高さと敷地の高低差によって視線をコントロールして、夜間でも室内が適度なプライバシーと保っています。
リビング・ダイニングから窓越しに夜景を見る。前面道路のガードレールと架空電線を視界からカットしています。