金沢市大野町で約380年の醤油醸造の伝統がある直源醤油のショールームとして、かつて醤油の仕込みがおこなわれていた「もろみ蔵」を改修するプログラム。現在は近代的な工場で製品が造られているため、遊休化した築100年の土蔵を自社製品のショールーム兼まちづくりの発信拠点とする。
金沢市の保存建造物に指定されている住宅に隣接するこの蔵は、通りに対して最小限の修復と角地の植栽によって街並みの連続性を保っている。外部入口からはフロストガラスで仕切られた土間アプローチを経て内部の蔵空間に導かれる。既存の黒い柱・貫で構成された4間×9間の大空間の中に、対比的に天井高を抑えた白木の3間×3間のフレームおよび可動式の2.1m四方の移動ブースを設け、喫茶スペースや展示スペースとして使えるようにした。
街並みに対して最小限の修復をおこない、大きな下見板張の壁面に浮かび上がるライトアップされた入口が人を引きつけます。
出入口の奥に蔵スペースと土間アプローチを仕切るフロストガラスの間仕切壁があります。間仕切壁の上部は開放され、蔵の内部の様子が垣間見ることができます。
土間アプローチの壁は、玄関の格子戸と同じ高さの格子壁としています。
蔵スペースからフロストガラスの間仕切り壁と、その奥に土間アプローチ、玄関戸が見えます。
蔵スペースには、点在する移動展示ブースがあり、正面の低い天井のある部分が販売スペースです。
4間×9間(7.28m×16.38m)の大空間の中に天井高を抑えた3間×3間のフレームを設け、蔵スペースに向かってオープンにした販売スペースと、壁で仕切られた残りを倉庫などのバックスペースとしています。
販売スペースの上部のロフトからは、上から蔵内を見渡し、かつて大きな桶が並んでいたことを思い起こせるようにしています。
販売スペースでは、隣接する工場直営の樽出しの量り売り醤油をはじめ各商品、店主のコレクションである全国各地の醤油差しを展示したいる。かつて、醤油を醸造していた蔵の柱・貫で構成された空間の中に、新しく造られたフレームを入れ子状に配置することによって新しい店舗としての空間をつくりだしました。