自動車板金工場を営む建築主の自宅兼工場。1階には整備工場と塗装ブースを設け、2階は夫婦、こども二人、母親の5人家族の居住スペースとする。敷地背後には新幹線が建設中であり、開通後の騒音対策も必要であった。
1階と2階の用途が異なるため、外観的に違和感が少なくなるように配慮した。道路面が南側になるため、工場のシャッター上部に木製格子の手摺壁のあるバルコニーを設け、住宅らしさを表現すると共に各居室から出入りのできる半屋外空間とした。階段や水廻りなどの非居住空間を北側の建物背面に配置し、新幹線の騒音に対する備えとした。35帖のリビングは流し台とテーブルを連続させた長さ6.1mのアイランド型キッチンが生活の中心の場となる。
1階は自動車修理工場、2階は住まいの併用住宅。1階の前面は全て工場スペースとなっているので、2階の住宅へは建物横の通路を通って専用の玄関から入ります。2階の道路に面した南側に木格子を設けて、居住スペースに半屋外空間を作ると共に、1階の工場入口の庇して機能しています。
シャッターの並ぶ1階の工場に対して、2階には米杉のバルコニー格子で住宅らしさを表現しています。格子は、正面から取付金物が見えないように工夫をして、両サイドも押出成形セメント板の厚み(6センチ)だけが見える納まりとしています。
35帖のリビングにはアイランド型キッチンと畳コーナーを配置。畳コーナーの下は引出式の収納になっています。
キッチン側に立つと、正面に畳コーナー、右側にダイニングテーブルとバルコニーが見えます。畳コーナーのテレビ側面の扉を開けると仏壇がありますが、普段はリビング空間に違和感のないように納めてあります。
リビング側からキッチンを見ると、アイランドキッチンの背面には冷蔵庫と食器棚、家電置場が壁面に埋め込まれ、室内に物があふれてこないようになっています。右側のガラス戸はプライベートルームへと繋がる出入口です。
3.6mの流し台と2.5mのテーブルを連続させた長さ6.1mのユーロモビル(Euromobil)のアイランド型キッチンが生活の中心の場となります。
2階の南側の間口一杯のバルコニーはリビング、寝室、子供室それぞれの室内と同じ床の高さのウッドデッキで繋がっています。米杉の横格子で周囲からの視線を遮りながら、通風を確保しています。
リビング・ダイニングに繋がるバルコニー部分は2.3mの十分な奥行があります。
主寝室のヘッドボードには間接照明が設置してあります。
洗面室のカウンター正面の鏡の収納扉を開けると三面鏡としても使うことができます。大理石の床は蓄熱式の床暖房を設置してあります。
強化ガラスで仕切られた浴室は、洗面室と同じ大理石の床が連続します。浴槽の奥に小さな坪庭(プライベートなバルコニー)があります。