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円光寺の家

内部と外部が繋がるミニマルな住宅

円光寺の家

コンセプト

隣地と比較的密集した住宅地における居住環境の悪さから、新規の土地探しから始まった新築計画である。これまでの生活圏内で、いくつかの候補の中から土地の問題点や建築の可能性など探り、前面道路は南向きで対面側は駐車場となっており、東側は奥の旗竿敷地の通路部分となり、東から南にかけて空間の広がりを得ることができる土地を選定した。

プライバシーを守りながら内部と外部が繋がり、生活空間にモノが出てこないシンプルな空間が求められた。

建築概要


所在地:石川県金沢市
用途:住宅
構造:木造2階建て
外部仕上
屋根:ガルバリウム鋼板立てハゼ葺
外壁:ジョリパット吹付
   米杉板
開口部:アルミサッシ(Loe-eペアガラス)
内部仕上
床:アッシュフローリング
壁:石膏ボードビニルクロス
  石膏ボード和紙クロス
  石膏ボードビニルクロス

Photo gallery

  • 道路際まで迫った黒色の外壁が閉鎖的な印象を与えるかもしれませんが、プライバシーを守りながら室内からは外部空間と連続し、通風と採光を確保しています。敷地の間口ほぼいっぱいに建った1階部分は2台分の駐車スペース兼アプローチ空間になっています。敷地両サイドからの延焼ラインを避けた中央の耐力壁部分は米杉板張りとしています。

  • 天候にかかわらず車に乗り降りが出来るよう玄関に直結する屋根のある駐車スペースが必要とされたため、玄関は奥まった部分にあります。閉鎖的にならないよう隣地側の両側面に開口を設け、光と風が通り抜けできるようにしています。米杉の玄関ドアと格子・柱を設け、黒色の外壁の中に対比的に木材の軟らかい雰囲気を出しています。

  • 玄関ドアとリビングの引戸を開けると、建物を通して敷地の奥まで視線が通ります。

  • 16帖のリビングから敷地奥の庭と、ウッドデッキの中庭の二方向に開放された明るい空間が広がります。リビングにはソファーやテーブルなどを置かないライフスタイルのため、テレビも普段は収納されています。

  • 大きな3枚引戸で仕切られたキッチンは、リビングとキッチンの生活感を切り離すこともできます。引戸を左側に寄せると対面式のキッチンがあらわれ、カウンターにはリビング側から利用するテレビやDVDプレイヤーなどがあります。

  • 引戸を右側に寄せると、キッチンに連続して置かれた小さなダイニングテーブルがあります。6帖の広さに食事や家事のための機能的空間をコンパクトに納めたキッチンと、16帖の広さに一切家具などを置かないミニマルなリビングが生活の中心の場となります。建具や家具の面材はシナ合板で統一しています。

  • キッチンは、リビングに向かった奥行1,050ミリの対面式のシンクカウンターと、壁面側にIHコンロと収納カウンターを分けて配置しています。キッチンの突きあたりに小さな家事コーナー(パソコンコーナー)があり、必要に応じて引戸で隠すことができます。

  • 壁面側には吊戸棚は設けずに、食器や調理器具などのキッチン用品は引出収納に納めています。一番奥の冷蔵庫スペースの手前側のみ天井までの棚を設け、電子レンジや炊飯器・ホームベーカリーなどの家電置場も扉を閉めて、スッキリと隠すことができます。

  • ダイニングテーブルからキッチンとリビング方向を見たところです。リビングの一部は吹抜となり、上方向にも空間が伸びていきます。

  • 玄関を入ると細長い玄関土間が横方向に伸び、隣地側の突きあたりに開口部を設け、採光と視線の抜けをとっています。階段は、できるだけデザイン要素が少なく見えるように踏板と蹴上板の水平と垂直の繰り返し(ジグザグ)で表裏ともあらわしています。

  • 2階階段ホール。踊場の突き当たりは隣地のため、左側の中庭側に縦長の窓を設け、周囲からの視線を避けながら、通風と採光を確保しています。右上の小窓は、サンルームに繋がり、風の通り抜けをとっています。

  • 2階の寝室とサンルームに面して壁で囲まれた、外から覗かれることのない広さ6帖のプライベートなバルコニーがあります。正面の引戸は階段ホールから寝室への出入口。バルコニー正面にはサンルーム(物干し場)が見えます。

  • 3帖の広さのサンルームでは洗濯、物干しが合理的に行えるように、洗面脱衣室からも近く、バルコニーに直接行き来できるようになっています。シーツや毛布などのなどの大きな重い洗濯物も部屋干しできるように、ステンレスパイプで制作したしっかりとした物干し竿を天井に設置してあります。

  • バルコニーから寝室を見たところです。サッシ開口部の庇は雨の吹き込みなどを防ぎ、外の部屋として寝室と一体的な空間として使うことができます。道路側には近隣からの視線を避けた高い位置に横長の開口部を設けています。

  • バルコニー上部を見上げると、黒い外壁面と庇で区切られた空が見えます。

  • トイレは、小さな手洗器と収納カウンターを設け、間接照明で明るすぎない落ち着いたサニタリースーペースとしています。

  • 洗面所は、人工大理石のカウンターを部屋の幅いっぱいに設け、丸い置型の洗面ボウルにしました。カウンター下は全て収納となっているため、カウンターはいつもきれいに片付いています。三面鏡のミラー収納の上に間接照明を設置して、柔らかい光で顔を見ることができます。

  • リビングの天井高さは、2,215ミリの低い空間と、4,950ミリの吹抜空間を並べることによって空間の広がりを演出しています。低い天井部分には間接照明を設け、あかりの重心を下げ、落ち着いた雰囲気にしています。

  • 外観の夜景です。暗闇の黒い外壁の中に、米杉板の外壁と玄関ドアが浮かび上がるように照明を配置しました。玄関横の格子から、室内の灯りがもれてきます。

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