照明

業務日誌

リフォーム住宅の竣工引き渡し 御所町の家

1階の居住空間を中心にリフォームをした住宅の竣工引き渡しです。もともと明快な空間構成の建物だったので、一部の間仕切などの変更と水廻りを新しく作り直しました。吹抜の下では、工務店から施主へ引渡し書類の説明が行われています。 杉のフローリングと和紙クロスで、柔らかい感じの空間になりました。 写真の遠近感で大きさ感が同じに見えますが、手前のペンダント照明はシンプルなボール型の電球ペンダント。吹抜にはルイスポールセンのウォラート(350Φ)を設置しました。ウォラートは、デンマークにあるルイジアナ美術館を設計(ヨーン・ボーと共同で設計)したヴィルヘルム・ウォラートによるデザインです。 ペンダント照明は吊す場所も当然ですが、コードの長さが照明計画のポイントです。デザイン的にもコードをたぐり寄せて長さ調整をしたものは綺麗ではないし、吹抜に付ける場合は既成のコード長さでは短すぎることがほとんどです。ここでは吹抜の天井から照明が半分出る高さでコード長さを特注しました。全方向に光が広がる照明器具の特性を活かして、吹抜下の床面と、吹抜の空間全体を照らすためです。 ...
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ペンダント照明の光源の確認 大場町のアトリエ

内部のクリーニングも終わり、建具の塗装をしている段階です。それと合わせて照明の光源の確認です。工房の吹抜の照明は2階から吊り下げたペンダント照明です。白い陶器製のモーガルソケットを黒い丸打コード(こたつのコードのように糸で編み込んだコード)で吊り下げた器具を電気施工者に作成してもらいました。 夕方、暗くなってからクライアントとモーガルソケットに付ける電球の検討をしました。E26の口金のLEDや蛍光灯も付けることはできるのですが、基本的に白熱電球を付けることを当初から考えていました。40Wと60Wのクリア球とシリカ球。明るさ感や見え方など、電球を入れ替えて確認しました。結論としては60Wのクリア球にしました。いわゆる裸電球ですが、光源から全方向に光が広がる光源が空間を包み込むような優しいあかりとなります。また、キラッと輝くフィラメントが眩しさはありますが暖かさを感じさせます。 ペンダント照明のみ点灯した場合の床面照度は15ルクスで、リビングの照度基準の1/10程度と非常に暗いのですが、心地よい明るさ感でした。各所に配線ダクトを設けてあるため、適宜、使用しながら...
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小丸山城址公園の照明計画

七尾市の小丸山城址公園の照明計画です。 公園の統括設計は計画情報研究所、ランドスケープデザインは橋本建築造園設計、やぐら(展望デッキ)は能登デザイン室の設計です。照明計画は家山真建築研究室の家山英子が担当。 公園内の整備計画に合わせて既存の照明を見直し、安心して夜間の散策も楽しめるように計画しました。 既存の園内の照明は、光を拡散させる白色のグローブ型水銀灯で、光源がまぶしく(グレア)、樹木や人の影が大きくあらわれるため心地よいものではありませんでした。[下の写真は改修前] 園路に沿って低い傘型の庭園灯を配置し、柔らかい電球色の明かりのたまりがリズミカルに連続し、光のグラデーションをつくり出しています。 正面の突きあたりの明るい場所は、駐車場からのアプローチと、隣接する天性丸公園につながるブリッジからの動線が交差する場所のため、背の高いポール灯で明るさを確保しています。 春の花見シーズンは仮設の行灯照明を用いますが、普段は夜空に無用な光が漏れないように配慮しています。 七尾湾を望むように新設され...
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ルイスポールセンのスノーボールがつきました 末町の家

昨年、リノベーションした末町の家の玄関ホールの吹抜に、ようやくペンダント照明がつきました。ポール・ヘニングセンがデザインしたルイスポールセンのPHスノーボール、どの角度から見ても中の光源(電球)が見えず、シェードの隙間からきれいな明かりがもれてくる、大変美しい照明器具です。 設計時から、クライアントが希望されていた照明器具ですが、かなり高価であることと、この空間に本当にマッチするのかどうか決断できないまま、竣工から1年半が経過していました。先日、ルイスポールセン社から格安で購入できるセールの案内が届き、クライアントに相談したところすぐに購入の意思が固まり発注することになりました。 セール品と言うこともあり、一刻を争う発注になると思い、電話でクライアントと電源コードの長さの打合せをして寸法を決めました。長いペンダントコードをたぐり寄せて長さを調整したものと違い、ジャストサイズで真っ直ぐにぶら下がるペンダント照明は気持ちがよいものです。 最近は、リプロダクト、ジェネリック(意匠権の期限が切れたデザイナー家具・照明を復刻生産したものと定義づけられていますが・・・)と称したデ...
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コラム042|コンセントの配置は設計段階で決めておきます

どこにコンセントやスイッチが必要ですか 設計をするにあたって、建物のデザインや設備機器の選定の他にも大事なことがあります。家の中で使うほとんどのものは電源が必要です。テレビや冷蔵庫はもちろん、掃除機を使うための各部屋のコンセントや携帯電話の充電、ガレージや玄関にも必要かもしれません。 上の図面で、ぶたの鼻のような記号がコンセントの位置を示しています。洗濯機やトイレにはアース付のコンセント、エアコンは機種によって、100V・200Vの違いや、室内機側あるいは室外機側どちらに電源が必要か異なってきます。選定して設備機器に合わせて、適切なコンセントの配置をしていきます。配置のポイントは、一年を通しての生活をシミュレーションしてみることです。こたつはどこに置くか、熱帯魚の水槽はどうするか、電話の子機はどこに置くか・・・など。毎日の掃除機のために部屋の入口近くにコンセントがあると便利です。最近はコードレスの掃除機を使うことも多くなってきていると思いますが、掃除機を収納しておく納戸や物入れの中にも充電のためのコンセントが必要です。仏壇や神棚も、普段はロウソクではなく、電気式...
コラム

コラム034|玄関・アプローチの照明

玄関やアプローチを照らすための、外部空間に配置する照明器具はどのようなものが良いのでしょうか。 木造の軒裏を美しく見せる 木造住宅の大きく跳ね出した軒下空間は、内部空間と外部空間を繋ぐ中間領域として、日差しを遮ったり、雨宿りをする機能的な役目を持っています。この空間を夜も魅力的に見せるために、外壁に全方向に光が広がるブラケット照明をつけることによって、軒裏に光が広がり規則正しく並ぶ垂木の陰影がきれいに浮かび上がります。 桂町会館では、奥行1.2mの軒下空間を幅23mにわたって照らすことによって、対面する公園に灯りを提供しています。 南砺市の家では、玄関までのアプローチ空間の軒裏を照らし、奥まで誘導します。 八幡の土蔵では、蔵を覆う屋根が浮かんで見えるように、軒裏全体をライトアップしています。 囲まれた空間には光を溜め込む 囲まれたフラットな天井の玄関ポーチでは、ダウンライトを天井に埋込み、囲まれた空間全体に光を溜め込むように配置します。 アートギャラリーの尾張町計画では、伝統環境保存区域の街並みに無用な光が...
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コラム016|パンチングメタルの外観

商業建築では、正面の外観(ファサード)をアルミサッシとガラスのカーテンウォールとし、デザイン要素を単純化して、スッキリとした外観にすることがあります。物販店舗では、1階は出入口とショーウィンドウのために透明なガラスで店内の見通しをよくする必要がありますが、2階より上は必ずしも外から店内が見えなくても良い場合があります。むしろ、外観を特徴付けるデザインが求められます。 かわさき画材ではガラスの内側にアルミのパンチングメタルを入れています。外部からはガラスとアルミのメタリックな表情、内側からはパンチングの孔を通して外の様子が微かに見えるようにしています。窓の開閉のためにパンチングメタルも開閉する必要があるため、網戸用のアルミ型材を利用して製作しました。 夜間は店内の明かりが、パンチングの孔を通して浮かび上がることも考慮しました。写真は設計時の模型での検討の様子です。 パンチングメタルの開口率(孔の直径とピッチ)は、図面だけでは確認できないので実物サンプルを数種類作成して、比較検討して決定します。 このような現場で判断する事項も監理の重...
コラム

コラム013|土蔵の中の光る壁

壁が照明器具に変身 土蔵を住宅とショールームに改修した例です。土蔵は本来、倉庫あるいは醤油の醸造所として利用されていたもので閉鎖的な大空間が特徴です。改修の設計においては既存の建築の持っている特質をうまく利用することによってその空間的な魅力を引き出すことができます。 [写真上/八幡の土蔵][写真下/直源醤油ショールーム] 大きな空間の中に新たな機能(店舗スペース・トイレ・浴室など)をボックス状にまとめ蔵の中に配置しました。そのボックスの一面を不透明なガラスで覆い、照明をつけると暗い蔵空間にボックスが行灯のように発光するようになっています。また計画上、窓を設置できなかったトイレや洗面所が閉鎖的にならないように不透明なガラスは柔らかく空間を仕切っています。 大きな切妻屋根の空間の中に小さなキューブ状の箱。濃色の材料の空間に白木のスペース。薄暗い中に光る壁。旧いものと対比的に新しいものを配置することによって、新旧それぞれの良さを補っています。  照明計画について、ご質問・お問い合わせはこちら 関連記事 こちらもご覧ください コラム00...
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コラム009|アプローチ空間で期待感を高める

奥行きを創り出す 建築のアプローチは、内部空間へ至る印象を決める重要な場所です。建物が道路に面していたり、奥行きが充分とれない場合であっても、道路と平行にアプローチ空間を長く取って建物の中に入る期待感を高めることができます。 [写真上/直源醤油ショールーム]道路に面した土蔵の小さな入口から内部を見るとフロストガラスのスクリーンで仕切られて内部を見通すことができません。下見板張りの蔵の外壁に開けられた開口部の奥に、明るいガラス面が人を中へと誘い込みます。 スクリーン越しに内部のあかりと雰囲気を感じながら狭い土間のアプローチ空間を通って、突きあたりで視線の向きを変えると広い蔵空間が広がります。 [写真上/葬送空間えにし]セレモニーホールの正面玄関はフロストガラスのスクリーンで仕切られています。 ファサード面のフロストガラスのスクリーンは入口までの距離をとることによって風除室としての機能的な役割を果たすと共に、参列者が告別の場であるホールへと至るまでの厳かな精神に切り替え、故人を偲ぶ回廊としての役割をもっています。 [写真上...
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コラム005|洗面所の収納

ミラー収納を活用しよう 住宅の洗面所は生活スタイルによって必要とされる機能は少し異なってきますが、洗面器、鏡、収納、照明は必需品です。歯ブラシや洗濯用具・洗剤など、細かなものは見えないように収納できると空間がスッキリと片付きます。鏡を収納の扉として工夫した例です。 は洗濯スペースを兼ねた洗面所です。鏡の引違い戸を開けると鏡の幅いっぱいの収納で、洗面、洗濯用具などがしまえます。シンクは理科室の実験用シンクで、洗濯の下洗いや、猫の足を洗うのに重宝しているそうです。照明は、光源が直接見えない間接照明型の器具を設置して柔らかいあかりが広がるようにしています。 は単独の洗面スペースのため、収納は三面鏡になった中央部分だけです。左右の鏡を開けると、通風・採光のための窓があります。普段、鏡を閉じた状態では窓の下半分のみ開放されて手元に外の光を導くとともに、外部からの視線を防ぐ目隠しパネルとして機能しています。 既製品の洗面化粧台は便利な機能や収納など満載ですが、洗面所の小さな空間には存在感がありすぎます。空間にあった家具としてデザインすれば違和感なく納めることがで...
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コラム004|空間を包み込むあかり

反射光で空間全体を包み込む 天井にダウンライトを埋め込んだ場合、直接光によって照らされた床面が明るくなる反面、天井面は暗くなりがちです。天井にたくさん照明器具をつけるよりも、天井面や壁面を明るくすると空間全体が明るく感じられます。 ブラケットやペンダント照明など光源が壁や天井から飛び出した照明器具は空間全体に光を拡散させますが、器具そのものが主張してきます。「あかり」そのものが欲しい場合は間接光を利用します。 大野町の家では、古い天井を残してリフォームされた玄関の下駄箱の真上に小さなダウンライトをひとつだけ設置しました。下駄箱の左側は廊下に繋がるメインの玄関。右側は台所に繋がる勝手口になっています。ふたつの空間を仕切るように置かれたBOXの天板はステンレスのバイブレーション仕上で、ダウンライトのあかりを柔らかく乱反射させて空間全体を照らしています。 照明器具からの直接光は陰影のある強烈な光。一度反射させて拡散した間接光は包み込まれるような光となります。 「明-暗」による光のコントラストと共に、光の「強-柔」が空間の質を変化させます。 ...
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コラム003|ずれているダウンライト

部屋全体を均一に照らす必要はありません 住宅や店舗の設計において、照明のデザインは重要なポイントです。照明器具のデザインも大切ですが、あかりのデザインがより大切です。しかし何でもダウンライトにして天井に埋め込んだり、間接照明にして器具を隠すことが良いわけではありません。空間の中に明暗を設けて、あかりの重心を偏らせることによって少ない照度で豊かな空間が生まれます。 [写真上左/東山の家]玄関の照明は、天井の中央ではなく下駄箱の上を照らしています。飾棚としてのしつらえをライトアップすることと、照明の真下に人が立ったときに強烈な影ができないようにしています。 [写真右上右/田園の二世帯住宅]廊下の照明は片側に寄せて奥の階段室のダウンライト、更にガラス戸を開けたリビングの照明器具と一直線上に並んで奥行きのある空間を演出しています。 [写真上/葬送空間えにし]建物正面のアプローチの照明も奥側に寄せて、明るい壁面を浮かび上がらせています。 全体が均質だった空間が、照明の位置を少しずらすだけで明暗の対比が強くなり空間の深みがでてきました。 ...
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照明器具が付きました 末町の家

今月末の完成に向けて器具付けが進んでいます。 照明器具は、小口径のLEDダウンライト。いつもの定番品。 リフォームしない部分の照明器具も、クロス張替に合わせて更新しました。こちらはソケットを直付けしたような器具にLEDボール球を付けただけのもの。天井、壁どちらにも使えてシンプルな形です。こちらも定番品。 電球は、真ん丸なボール球の電球に近い形の東芝製です。設計図に電球の品番も書いて指定してあります。他のメーカーの電球は微妙なくびれや、放熱のためのスリットがあって格好が悪いからです。  ご質問・お問い合わせは、こちらからどうぞ
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オンラインマガジンhomifyに掲載 桂町会館

桂町会館が、オンラインマガジンhomifyに掲載されました。 「どうやって?どこに?ウォールライトを使用してみよう!」  ご質問・お問い合わせは、こちらからどうぞ
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照明計画の検証と建具の取付 東山の家2

照明器具の配置と、機種の選定のためにシミュレーションした結果が適切であったかどうかの検証です。 室内に必要な照度が確保されているか、色の分布で示しています。赤色が明るく、青色が暗い部分です。 リビングは全体的に150Lx(ルクス)を目標に計画しています。照明器具は、デザイン的に主張の無い小さな口径のLEDダウンライトと、ボール球のライトを天井に付けています。 太鼓張り(桟の両面に障子紙を張ったもの)障子の光の透過によるシルエットもうまく出ています。 玄関戸も取り付けられました。  ご質問・お問い合わせは、こちらからどうぞ
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竣工しました 南砺市の家

当初の予定より、少し遅れましたが無事竣工しました。 役所の完了検査も問題なく終わりました。一部の手直し工事を残していますが、来週には引越をされる予定です。 夕景の竣工写真の撮影タイミングを待っています。 夕景写真です。建物外観のディテールが消され光に包まれた玄関ポーチが人を誘導し、開口部からもれる内部の明かりが生活感をあらわしています。 設計事例 こちらもご覧ください 南砺市の家
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電気が通りました 南砺市の家

照明器具も取り付けられて、電気も通りました。勾配天井の居間と寝室にはボール球の蛍光灯ペンダント。その他はLEDダウンライトです。 あとは、内部建具を取り付ければ竣工です。
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照度測定 石引の家

石引の家のリビングです。家具などきれいに納まって、生活に馴染んできました。竣工後、しばらくしてから夕飯をご馳走になったついでに照度測定をしてきました。下の写真は別な日に撮影したものですが、実際には、夜間に外光の影響のない時間帯に測定しています。 設計時の照度計算では、リビング床面で平均125lx(ルクス)の計画です。 実測値では150~250lxといったところでしょうか。リビングの団らんにおけるJIS照度基準は150~300lxです。大体予定通りです。全般照明は蛍光灯を使っていますが、テレビの前にある二つの小さなダウンライトはダイクロハロゲンを使っています。ユニバーサルタイプ(向きを変えられるダウンライト)を使っているので、本当はテーブルの上を照らすつもりですが、まだ調整してありません・・・。ちなみに調光をMaxにしたダイクロハロゲンの直下照度は1800Lxです。