実施設計

業務日誌

地盤調査の立会 円光寺の家

建物を建てる前に、地盤の状況を把握して基礎の設計をする必要があります。木造2階建ての場合には、一般的に『スウェーデン式サウンディング試験』と言われる調査方法で行います。 小雪の舞う中、朝8:30から調査の立会をしました。スチールのスクリューロッドを、機械で荷重を加えながら地面に貫入させて地盤の状態を調べます。事前に近隣データなどから地盤は悪くないと想定していましたが、一箇所のみ軟弱な傾向を示すポイントがありました。調査ポイントを追加して入念に調査してもらいました。 通常は建物四隅と中央の5ポイントの計測をしますが、結果的に9ポイントの調査になりました。調査会社も、調査によって正しく地盤の判定を行う必要があるため、ポイントが増えたからといって費用が追加になるわけではありません。設計者としては、調査会社から提出された地盤調査報告書を参考に基礎の設計をするわけですが、基本的に調査にも立ち会うことによって、地盤の状態を感覚的に確認することが大切だと思っています。 数日後に提出された報告書には、各ポイントの地盤の状態を示すデータが示されています。...
コラム

コラム046|階段の見せ方

階段は空間を貫く斜めのデザイン要素 リビングなどの生活空間に階段が見える場合、斜めに上下空間を貫く階段は、かなり目立った存在になります。 一般的には段板の両側に「ささら」と言われる板を上下階に架け渡し、その間に段板をはめ込んで階段とします。その場合、幅20センチほどの板が斜めに空間を横切ります。建築は主に垂直と水平線で構成されているため、斜めの線は多少違和感があるため階段の見せたかを工夫する必要があります。 階段を大きな塊に見せないために 久安の家では、階段を支える「ささら」を段板の下に鉄骨のH形鋼(100ミリ×100ミリ)を2本架け渡し、水平の段板がリズミカルに上昇するように並べています。細い鉄骨を白く塗装することによって、白い空間の中で目立たなくなります。 石引の家では、鉄板を段板に合わせてジグザグ状にレーザーカットして、それに集成材の段板を取り付けています。厚さ16ミリの鉄板を80ミリの幅で加工しています。木造住宅でも、鉄骨を用いて軽快な階段を作ることも可能です。 箱形の階段でボリュームを見せる 八幡の土蔵のリ...
コラム

コラム042|コンセントの配置は設計段階で決めておきます

どこにコンセントやスイッチが必要ですか 設計をするにあたって、建物のデザインや設備機器の選定の他にも大事なことがあります。家の中で使うほとんどのものは電源が必要です。テレビや冷蔵庫はもちろん、掃除機を使うための各部屋のコンセントや携帯電話の充電、ガレージや玄関にも必要かもしれません。 上の図面で、ぶたの鼻のような記号がコンセントの位置を示しています。洗濯機やトイレにはアース付のコンセント、エアコンは機種によって、100V・200Vの違いや、室内機側あるいは室外機側どちらに電源が必要か異なってきます。選定して設備機器に合わせて、適切なコンセントの配置をしていきます。配置のポイントは、一年を通しての生活をシミュレーションしてみることです。こたつはどこに置くか、熱帯魚の水槽はどうするか、電話の子機はどこに置くか・・・など。毎日の掃除機のために部屋の入口近くにコンセントがあると便利です。最近はコードレスの掃除機を使うことも多くなってきていると思いますが、掃除機を収納しておく納戸や物入れの中にも充電のためのコンセントが必要です。仏壇や神棚も、普段はロウソクではなく、電気式...
コラム

コラム024|設計のプロセス-実施設計:細部を決めて計画を具体化

屋根の材料から引出のつまみの品番まで決めます 基本設計が固まると、「実施設計」に移ります。基本設計ではイメージされていなかった各部屋の家具や開口部の大きさや関係性などをスケッチや模型で検討・確認し、具体的な使用材料や使用機器の品番を決めていきます。使い勝手やデザインの検討と共に、詳細な図面を作成することによって現場でのトラブルや工事費の増加を防ぎます。 材料や品番を決めるためにより詳細な打合せスケッチや模型、CGなどでできあがりをイメージしながら打合せ・検討を進め、必要に応じて材料サンプルを取り寄せて質感や色の確認をしたり、キッチンメーカーや設備機器のショールームへ行って現物の確認をします。各部屋はスケッチによって各部の取り合いや家具・窓の配置を立体的に確認しながら打合せをしていきます。 意匠・構造・設備が一体となってひとつの建築に 意匠の設計と並行して、電気配線や空調・配管などの設備設計と、基礎や柱・梁の寸法や配置を決める構造設計は、必要に応じて協力事務所と連携して設計を行います。木造住宅の場合は、筋違いの配置計算による簡易的な構造チェックが認められていま...
コラム

コラム020|相見積もりで、どの施工者に決めるか

相見積もりで工事費は下がる? 住宅を建てるときに、プランやデザインも大切なことですが、一番の関心事は工事金額ではないでしょうか? クライアントと打合せを重ねて作成した設計図を元に、工事をする施工者が見積をします。一般的には3社程度の施工者に設計図を配布して、同一条件で見積もりしてもらい比較します。このことは一般的に、相見積もり(あいみつもり)といいます。 相見積もりによって、各社の見積金額が数十万から数百万の差が出て、安い金額の施工者に決定すれば設計費用も簡単に捻出されると言われることがあります。はたして、それは正しいことでしょうか。見積金額に大きな差が出るのは、設計図に示してある仕様や数量が不明瞭なため起こることだと思います。 不明瞭な箇所は極力減らす 家山真建築研究室では現場が終わると、工事中に変更になったことや決定した品番、納まりの変更箇所などを竣工図に反映して次回の設計につなげます。設計図には家具や建具の金物にいたるまで、ほとんどの仕上げ材料はメーカー・品番を指定してあります。一般名称で書かれた商品ではメーカーによって価格やデザイン・性能が異なります。あま...
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実施設計完了 東山の家2

ゴールデンウィーク前に何とか実施設計を終え、連休中に図面の見直しと訂正を行い、連休明けに建設会社へ見積依頼図面を渡しました。通常は相見積もりと言って、数社に同条件で見積を依頼して施工業者を選定します。 今回は工事規模などから適切と思われる、事前に参加の意思を確認した建設会社2社に見積を依頼しました。 相見積もりも、入札と同じように最低金額を提示したところに決まることが多いのですが、当事務所では見積明細書の他に、工程表と予定現場代理人の経歴書の提出をお願いしています。 相見積もりは、競争原理が働くため金額が抑えられることは確かですが、使用する製品や金物の品番は明細に設計図で指定してあるので大きな金額差が出ることはあまりありません。一般的に相見積もりで大きな金額差が出るのは、競争原理によるものではなく、不明確な設計図によるものだと思います。 今まで、極端に安い金額や高い金額の見積書を受け取ったことがありますが、安いものは設計事務所の仕事に慣れていない施工者が図面を読み切れないため適切な金額が入れられない場合であったり、高いものは受注の意思が無い(忙しいため受注できな...
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設計監理契約をしていただきました 東山の家2

最初のプレゼンテーションで、多少の修正要望をうかがい第二案を提示しました。結局、第一案のプランの方向性に戻り、その修正案の第三案を基に設計監理契約を結んでいただくことができました。 竣工予定、仮住まいなどの予定から、ゴールデンウィークまでには実施設計を完了するというタイトなスケジュールです。かなり詰めて計画案を作成していたため、ほぼ基本設計完了に近い状態に図面がまとまっています。1ヶ月半で実施設計が終わるように、がんばっていきたいと思います。 設計監理業務、設計監理報酬については、家山真建築研究室web/業務案内で説明してあります。
業務日誌

計画道路建設中 南砺市の家

南砺市の家の敷地は、写真左側の既存道路と、現在工事中の計画道路に挟まれた東西に細長い三角形の敷地です。 田んぼが広がる田園地帯でしたが、工事中の道路に面する計画地において、既存の文脈を読み取って計画するには難しい敷地です。道路の建設工程が、敷地内の建築工程に影響するため、市役所との打合せを密にして計画を進めています。
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アートギャラリー実施設計中 尾張町計画

現在、実施設計中。 アートギャラリーの新築計画です。ほぼ設計が固まってきました。 敷地背後には、明治期に建てられた旧い土蔵が残っています。この土蔵を敷地内に取り込んでの計画です。