竣工しました 東山の家2

業務日誌
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東山の家2も、金沢市の完了検査を受け無事竣工しました。先週末には施主家族も引越をされて新しい住まいで生活されています。

 

建設地の金沢市東山は、細い街路に狭い間口の宅地割りの住宅が建ち並び、伝統環境保存区域に指定された景観上も重要な場所です。建築の形態や屋根、外壁の色彩なども条例で規制されています。

外壁の仕上げは条例の基準に適合する範囲の色彩で、正面はジョリパットの目地無し左官工法、側面はコストバランスを考えてジョリパットの吹付工法で仕上げています。安易に基準に適合する色のサイディングを張って終わりでは無く、素材感のある仕上を使うようにしました。

外観

 

屋根はガルバリウム鋼板葺きで、玄関ポーチの前には庇を出して、迎え入れる玄関としての表情を出しています。庇の出幅と同じだけ隣地側の外壁を延長した防火壁として玄関ポーチ内の外壁と玄関戸が延焼ラインにかからないようにしています。準防火地域では、通常隣地境界から3mの範囲は防火構造の外壁と、防火戸(網入りガラスのアルミサッシ)を設置する必要がありますが、飛び出した壁と庇で隣地から3m以上の距離をとっています。そのため板張りの壁と、木製格子戸を付けることができるのです。米杉という水に比較的強い材料を使っていますが、奥まったところにある木製の玄関戸は風雨から守られることによって傷みにくくなります。

外観

防火壁と庇の先端は見付け寸法を絞り、亜鉛メッキした鉄骨でシャープにみえるようにしています。

玄関ポーチ

内部はLDKとそれに続く畳コーナー(仏間)を中心に、洋室と和室の個室が手前と奥にあります。左側の窓の奥に見える外部空間が、唯一の庭でここから居室の採光・通風を確保しています。天井は2階の床下地の28ミリの合板がそのままあらわしとなっています。

太鼓張り障子

正面には、桟の両面に紙を張った太鼓張りの障子でリビング、縁側のそれぞれと仕切られています。手前の照明を消すと向こう側からのあかりが透過して、建具に縦桟のシルエットが映し出されます。

太鼓張り障子

障子を開けると畳コーナーとつながります。

畳コーナー

夜間は、玄関ポーチの天井に付けられたダウンライトで玄関戸と板張りの壁面を照らし、囲まれた玄関ポーチ内にあかりをため込み、街並みに無用な光を出さないように計画しています。

夜景