土蔵のリノベーション竣工しました 八幡の家

八幡の家 西側外観業務日誌
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13年前にリノベーションした土蔵に隣接する、もう一つの土蔵を、子供部屋・フリースペース・収納にリノベーションする計画です。もともと収納スペースとして利用されていた土蔵ですが、世代交代により使わなくなった古い道具や家具を処分したり整理して、日常的に使いやすくしました。業務日誌|改修工事の現地調査 八幡の家

 

2階は全て今まで通りの収納スペースとして、棚などを設置して効率的に収納できるようにしました。1階はワンルームの蔵空間を仕切り、独立した部屋と収納室を新設しました。広い空間が細切れになることによって圧迫感が出ないように間仕切壁の上部はガラスのランマを入れて光と気配が伝わるようにしています。

八幡の家リノベーション フリースペース

2階への階段は既存を利用して、元の位置に設置しています。階段の奥にあるドアは、既存の土蔵空間に連続するための渡り廊下に繋がっています。

 

ドアを開けて約1.8mの奥行きの渡り廊下を新設しました。その奥にある空間は13年前にリノベーションした既存の土蔵です。八幡の土蔵

これまでリビングと寝室・収納が1つの蔵空間で完結していましたが、家族が増え手狭になったため隣の蔵と連続させて約2倍の広さになりました。ドアを開けると約21mの奥行が連続します。

八幡の家 渡り廊下

 

新設した約1坪の広さの渡り廊下の内部はシナ合板貼りで、両側の壁面には本棚が設置できるように棚柱を埋め込んであります。幅の広い地窓を床面に連続させて設置し、開口部の少ない土蔵空間に通風・換気効果を期待しました。

八幡の家 渡り廊下

 

子供部屋となる部分には新たに窓(アルミサッシ)を新設しています。既存貫の切断箇所をできるだけ少なくなるように、窓の取付位置と大きさを検討して決定しました。

八幡の家 子供部屋

新しく作られた間仕切壁は、施主施工による、しっくい塗りです(コストダウンのためではなく、自分たち・子供たちの思い出のための施主施工)。通常は、工事途中の施主参加の工事は工程上難しい場合が多いのですが、今回は限られた小空間であったことと、施主が隣接する建物に居住しているため小まめに対応できたことで実現できました。

 

土蔵は土壁の外側に下見板張りの二重壁構造になっているため、外側の板壁には木製の建具を設置しているのでアルミサッシは見えにくくなっています。

八幡の家 西側外観

小さなリノベーション工事で、建築的に大きく手を加えたところはありませんが、使われていなかった(使いにくかった)空間に少し手を加えるだけで、生活に大きな変化をおこすことができると実感した計画でした。古い建物を何代にもわたって受け継ぐためには、そのまま残すだけではなく、生活の変化に応じた対応が大切です。

この工事に伴い、使わなくなった古い農機具を処分する予定でしたが、自然栽培の農業を実践している友達が古い農機具を探しているという情報を聞き、引き取ってもらうことができました。

八幡の家 古い農機具