コラム042|コンセントの配置は設計段階で決めておきます

展開図 設備プロット図コラム
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どこにコンセントやスイッチが必要ですか

設計をするにあたって、建物のデザインや設備機器の選定の他にも大事なことがあります。家の中で使うほとんどのものは電源が必要です。テレビや冷蔵庫はもちろん、掃除機を使うための各部屋のコンセントや携帯電話の充電、ガレージや玄関にも必要かもしれません。

 

コンセント設備図

上の図面で、ぶたの鼻のような記号がコンセントの位置を示しています。洗濯機やトイレにはアース付のコンセント、エアコンは機種によって、100V・200Vの違いや、室内機側あるいは室外機側どちらに電源が必要か異なってきます。選定して設備機器に合わせて、適切なコンセントの配置をしていきます。配置のポイントは、一年を通しての生活をシミュレーションしてみることです。こたつはどこに置くか、熱帯魚の水槽はどうするか、電話の子機はどこに置くか・・・など。毎日の掃除機のために部屋の入口近くにコンセントがあると便利です。最近はコードレスの掃除機を使うことも多くなってきていると思いますが、掃除機を収納しておく納戸や物入れの中にも充電のためのコンセントが必要です。仏壇や神棚も、普段はロウソクではなく、電気式を使っていると思います。コンセントや照明などの電気容量に応じて回路分けをして、配線が分電盤に集約します。分電盤は廊下の収納の一角に、分電盤専用のスペースを確保して扉を閉めると見えなくなるようにしています。

 

 

照明 設備図

上図は照明器具の図面です。A、B、Cと記号を付けられた照明器具は別図の器具表でメーカーと品番を指定してあります。ここでは、照明器具の配置とスイッチの位置を示しています。照明器具は必要なところに明るさが確保できるように配置してありますが、スイッチの場所も大事なことです。こちらも、図面の中で歩き回ってシミュレーションしてみます。夜、帰ってきたら、先ず最初にスイッチがどこにあるべきか。この住宅の事例では、基本的に車で外出するため、ガレージ内の内玄関が家族の出入口となっています。スイッチはガレージを入ってすぐのところと、内玄関を上がった場所にあります。外部の照明はセンサーで人が近づくと自動に点灯するようになっています。廊下や各部屋のスイッチのON-OFFがストレスなくできるか確認してみましょう。

 

いろいろな取り合いで詳細寸法を指示します

コンセントやスイッチの配置は設備平面図で示してありますが、より詳しい位置を確定しておくことも必要です。一般的には設備平面図を基に、工事段階で施工業者が作成する施工図で取付位置を打合せをすることになっています。実際には、木造住宅の現場の場合、電気施工者や設備施工者から詳細な施工図を提出されることは少なく、提出された場合にも何度も施工図をチェックしてやり取りするよりも、最初から設計図に指示しておく方が確実で無駄な時間のロスがなくなります。

展開図 設備プロット図

以前は、工事段階に入ってから設備設計図を基に、家山真建築研究室にて展開図にスイッチの位置をプロットして監理指示書としていましたが、最近では設計段階のクライアントとの打合せで、展開図上にスイッチや換気扇などの見えてくるものを全て記入して確認をしています。そのために、壁の中に隠れている構造材の位置もCADの非表示レイヤー(上図のオレンジ色の破線)に記入し、干渉のチェックも怠りません。実施設計完了時点(見積提出時点)では、取付位置の細かい寸法(上図の赤色の寸法)は記入せず、機器の姿図のみ書いておきます。工事段階で詳細寸法を再確認・調整の上、記入して監理指示書とします。見積段階では詳細な取付位置は過剰な情報となると思い、このようなスタイルに落ち着きました。

 

立面図 設備プロット図

外壁に取り付く照明器具や屋外用コンセント、換気扇の排気口(ベントキャップ)の位置も、展開図同様に立面図にプロットします。この事例では外壁はガルバリウム鋼板の一文字葺きのため、ベントキャップの位置はガルバリウムの割付に合わせるためにミリ単位で寸法を指示しています。

 

スイッチプレートの種類

スイッチプレートは主に、2種類のものがあります。昔からあるもので右ー左にシーソーのようにパチンと切り替えるタイプと、現在一般的に用いられているワイドタイプです。メーカーは何社はありますが、ほぼパナソニック製品が市場を独占していると思います。

新金属2型スイッチプレート

クライアントから特に要望がなければ提案して使用する「フルカラースイッチの新金属2型プレート」です。オフィスビルなどでは一般的な金属のスイッチプレートですが、木造住宅にも違和感なくマッチします。上の写真はしっくい塗りの壁に取り付けたものです。スイッチの向きでON-OFFが直感的に理解でき、空間に主張しないシンプルな形状と素材感が気に入っています。

 

コスモワイド スイッチプレート

クライアントから要望がある場合は、ほとんど「コスモワイドシリーズ」です。スイッチ部分の面積が大きく操作しやすい製品ですが、スイッチを押す毎にON-OFFが切り替わり、直感的にON-OFFの状態を把握しにくいことが欠点です。しかし、タイマースイッチやセンサースイッチなど、この「コスモワイドシリーズ」しか対応していないスイッチもあり、選択肢として外すことができないものです。これを使う場合は、プレートの四隅が丸くなっていない「スクエアシリーズ」を使うのがせめてものこだわりです。

他にも神保電器の「NKシリーズ」というミニマムなデザインのスイッチもありますが、デザインがとがりすぎて逆に空間に主張しすぎている気がして採用したことはありません。プレートがマットな樹脂製で、手垢で汚れやすいのも欠点です。

 

こちらは、壁から離れた場所にコンセントが欲しい場合に使う「フロアコン」です。

フロアコンセント

ダイニングテーブルで使うホットプレートや、壁から離れた場所にテレビを設置したりLANケーブルを接続する場合に便利です。フタを裏返せば、ケーブルの取り出し口だけが飛び出した状態で使うこともできます。